大関経験者としては4人目の十両陥落力士となった西十両5枚目の照ノ富士(26=伊勢ケ浜)は、黒星スタートとなった。

 同4枚目の徳勝龍(31=木瀬)と対戦。立ち合いの踏み込みは問題なかったが、五分の立ち合いで左四つガップリの体勢に。土俵のほぼ中央で互いに出方を探ったが、徳勝龍が取れなかった右の上手を引きつけた瞬間、前に出ながら投げを打った。これで、あっさり体を崩された照ノ富士は土俵中央に上手投げで転がされた。

 膝の負傷に加え、糖尿病も患い場所を皆勤したのは昨年夏場所が最後。同九州場所で大関から陥落後も途中休場が続き、ついに幕内からも降格。最後に勝ったのは、最後の大関を務めた昨年秋場所3日目の栃ノ心戦。半年も白星から遠ざかる状況は本人も分かっているのか「この4場所、1回も勝ってないからね。(勝ち)慣れてない」と厳しい現実を受け止めている。

 ただマイナス思考はない。「1回、落ちるところまで体が落ちて、そこから戻すのは時間がかかる。前もそれで戻して、準優勝できるまで戻った」と、千秋楽で稀勢の里に劇的な逆転優勝こそ許したが、13勝2敗と復活した昨年春場所までの足取りを心に刻んでいる。「もう1回、という気持ちはある。ケガはだいたい治っているから(あとは)糖尿病。体が元に戻るまで半年かかるといわれているけど、人の2倍、努力して3、4カ月で戻したい」と気力は十分。「常に前向きさ。稽古場でも気合を入れてやってます」と復活ロードをひたむきに進む。