大相撲春場所9日目の19日、前日に支度部屋で付け人を暴行した東十両14枚目の貴公俊(たかよしとし、20=貴乃花)が休場した。

 師匠の貴乃花親方(45=元横綱)は臨時の役員会合で弟子の暴行を認め、八角理事長(元横綱北勝海)らに謝罪。師弟と暴行を受けた付け人の序二段力士の3人は、大阪市内で危機管理委員会の聴取に応じた。29日の理事会で処分が協議される。暴行の背景には、貴乃花親方の一門内での孤立が遠因になった可能性も浮上した。

 今回の貴公俊の暴行は、付け人が関取に出番を伝えるタイミングが遅れ、腹を立てたことがきっかけ。現場にいた関係者によると、貴公俊は支度部屋での暴行の際「部屋に戻ったら覚えてろよ」との暴言もあったという。付け人のミスは、人手不足も一因だ。貴乃花部屋は序ノ口以上の力士が9人在籍し、そのうち関取は4人。貴ノ岩が復帰し、貴公俊が新十両に昇進したため、出場する関取は倍増した。付け人を務める若い衆は5人しかおらず、十分に対応しきれなかった。

 一般的には同じ一門の別の部屋から若い衆を借りるが、貴乃花一門のある親方は「人を借りたいと言われたことはない。今回、初めて実態を知った」と明かした。2月の役員選挙では、一門として阿武松親方(元関脇益荒雄)を擁立。今場所前は恒例の連合稽古がなくなり、立浪親方(元小結旭豊)は一門から距離を置くことを明言した。貴乃花親方の求心力が失われつつある。他の部屋の助けを借りることは、プライドが許さなかったのか-。師弟の処分は29日の理事会で決まる。