大相撲初場所で初日から3連敗を喫した横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が、4日目の16日、引退することが決まった。都内の部屋の前で、師匠の田子ノ浦親方(42=元前頭隆の鶴)が明かした。田子ノ浦親方の一問一答は以下の通り。

-3連敗を受けて何か結論は出したのか

田子ノ浦親方(以下、親方)今日はもう、出場しません。稀勢の里は引退します。

-引退の結論に至った理由は

親方 本人から昨日(15日)、話を聞きまして。理由としては、思ったような相撲を取れていない。全力では取っていましたけど。けれど横綱ですから、結果を出さないといけない。なかなかそういう結果にならなかった。

-昨夜、1時間半ほど稀勢の里は部屋に滞在したが、どのぐらい話し合いを行っていたか

親方 本人も思うところあったと思うし、30分ぐらいですかね。そう簡単に決断したことではないと思う。

-2人で話し合ったのか

親方 2人で。

-昨夜、最終的な決断をしたのか

親方 そうですね。夜の遅い時間でしたが。

-本人は何と言っていたか

親方 本人からは「引退させてください」と。

-どんな表情だったか

親方 いたって、いつも通り。平常心ではあるように見えた。でも、いろんな思いはあるなと感じた。

-他に稀勢の里は何か話していたか

親方 「引退させてください」。それだけですね。

-それを受けて師匠からはどんな言葉を返した

親方 自分からは「そうか。ご苦労さん」と。それ以上は声を掛けられなかった。

-引退届はこれから提出するのか

親方 はい。

-思うような相撲を取れなくなった理由は

親方 本人の口からではないが、一生懸命、稽古もやっていたし、できることはやっていたが、なかなか皆さんの前で結果を出せなかった。気持ちの面もあったのではないか。

-師匠から理由は聞かなかったのか

親方 聞いていない。

-もう少し現役を続けてほしかったか

親方 結果を出せるなら、もっとできるのではないかと思っていた。でも、稀勢の里は我慢強い男ですから、引退という言葉を使うということは、それなりの覚悟があったと思う。それを考えたら、もっと続けてほしいとは、ならなかった。

-引退という決断をどう受け止めているか

親方 現役の時から一緒にやってきた。師匠としては、ふさわしくない言葉かもしれないけど、そこまで考えられていない。

-初場所が始まってからの様子は

親方 いつも通り。平常心ではあったと思うが、一大決心したぐらいなので、いろんな思いがあるのは顔を見ればすぐ分かった。

-もともと3日目まで負けたら引退といった話はしていたのか

親方 そういうものはない。

-どんな力士だったか

親方 あまり話がうまい方ではないと思うけど、一生懸命で、まじめ。一番は素直だった。

-横綱昇進後のこの2年間はどう映ったか

親方 横綱に上がってくれて、うれしい面もあったけど、一番近くにいれば、本人がすごく葛藤しているのは分かった。今、考えると2年はあっという間だった。