西十両11枚目の志摩ノ海(29=木瀬、三重県志摩市出身、本名・浜口航洋)が、千秋楽を待たずに12勝2敗で初の十両優勝を決めた。

後続の3人に2差をつけて臨んだこの日の土俵。相手は4敗の石浦(宮城野)で、勝てば優勝の決まる一番だった。立ち合いで石浦が左へ変化。これを「石浦は左上手を取ったら強いので、そっち側を意識した。当たって変化もある(イメージで)」と、自分から見て右に動くのを想定内に、冷静に踏み込んだ。イメージ通りの変化を読み切り、右を差すと軽量が浮いた石浦を組み伏せ、万全の体勢で寄り切った。

今場所の快進撃に、周囲から「どうしたんだ」と突然変異のように見られたが「本来の力が出たということだと思います。去年の九州場所中盤ぐらいから『感じいいな』と手応えはありました」と言う。

近大から入門し、4年をかけて関取の座を確保。だが4勝11敗ではね返され、膝のケガもあり陥落後は幕下で9場所を過ごした。再十両から1年での復活優勝の要因に「膝のケガのことを考えて(仕切りの際の)足の構えを広くしたり、すり足やぶつかり稽古から、体のバランスを見直したりした。腰も高く入っていなかったから、足から意識させたり」と下半身の強化、修正を挙げた。昨年9月の秋場所で5勝止まりだったことが転機となった。

「腐らず頑張ってきて良かった」。十両上位、幕内下位の千秋楽の星次第で、新入幕の可能性も残した。