今年3月に日体大を卒業し、鳴戸部屋から5月の大相撲夏場所(12日初日、東京・両国国技館)で初土俵を踏む桜井浩太郎(22)が10日、都内の日体大世田谷キャンパスで師匠の鳴戸親方(元大関琴欧洲)、日体大の松浪健四郎理事長、具志堅幸司学長、今村裕常務理事、相撲部の斉藤一雄監督が同席の元、入門会見に臨んだ。

場所前の新弟子検査に合格後、前相撲を取る。

鳴戸親方が日体大に3年から編入し、2年前に卒業した縁から入門を決めた。4年になったばかりの昨春、大会で左膝の外側側副靱帯(じんたい)損傷、大腿(だいたい)二頭筋断裂の重傷を負い、親方と同じ病院で治療する際も「焦るな。焦らなければ大丈夫」と励まされ、桜井も「力士にもなっていない自分を、あれほど心配してくれた。この親方なら信頼できる。力士になって恩返ししたいと思って(入門を)決めました」と話した。

茨城・稲敷市出身の桜井が本格的に相撲を始めたのは、千葉・日体大柏高に進んでから。3年時に高校総体団体3位、進学した日体大では3年時に東日本学生相撲個人体重別135キロ未満級で3位、4年時に全日本大学選抜相撲十和田大会団体優勝などの実績がある。

高校総体では団体戦の決勝トーナメントで埼玉栄と対戦。新大関貴景勝の佐藤とぶつかったが「実力差があって勝負にならないで負けた」と言う。その貴景勝の印象は「今も『勝っておごらず、負けて腐らず』と言ってますが、高校の時からそうだった。あの(全国の)学年の中で一番、努力して相撲に打ち込んでいて、それが(結果に)出ていた」という。「ライバルにしたいけど(ここまでは)ライバルと言えるまでには及ばなかった。しっかり体作りをして、対戦できるところまで上がるのを目標にしたい」と話した。

左の前みつを取って前に出る相撲を理想とする。近大卒の元林健治(22)と合わせ、2人の相撲経験者を初めて入門させた鳴戸親方も「大きな膝のケガも乗り越えた。自分に負けまいとコツコツと努力するまじめさ」と魅力とし「心も強い。まわしを取れるようになれば、受け身から攻めの相撲に変えられる。1から相撲のスタイルを変えるように指導したい」と語った。

既に春場所終了後、都内の部屋も新たな場所に構え、既に相撲部屋での生活もスタートさせた。「貴景勝世代」の新たな星となるべく、精進の日々が始まる。