大関経験者で東三段目49枚目の照ノ富士(27=伊勢ケ浜)が、土俵復帰で7戦全勝(優勝同点)した先場所に続き、2場所連続の勝ち越しを決めた。

3勝1敗同士の5番相撲で、同48枚目の藤大成(24=藤島)と対戦。立ち合いから圧力で圧倒し、右を差し左を抱えた体勢で相手の上体を浮かせ、危なげなく寄り切り4勝目を挙げた。

無傷の3連勝で迎えた8日目の4番相撲で、西三段目51枚目の大翔成に敗れた。これが本割では、東十両8枚で現状では最後の関取として土俵に上がった18年夏場所千秋楽(対天風=寄り切り)以来、丸1年ぶりの黒星。相手の足が出たと思いこみ、ふっと力を抜いた瞬間、体を入れ替えられてという、悔いの残る一番だった。

その取組後、あの一番を何でも映像で見返したという。「何でアソコで力を抜いたんだろう」「(大関を張っていたころの)前みたいに熱くなるものがなくなったのかな」…。だめ押しとは言わないが、最後にねじ伏せていた全盛期とは、相手が違う戸惑いもある。「序ノ口でデビューした最初の相撲で、勇み足で負けてる。あの時と同じ気持ちなのかな。あんな負け方、あの時以来、なくてショックだった」と後悔の念が押し寄せていた。

そこを何とか気持ちを入れ替え、この日は最後の詰めも誤らず、相手を正面に密着させて万全の寄り。「まあ、いいんじゃないの。足も動けていたんじゃないかと思うし」と4番相撲のショックを振り払おうとした。

先場所の序二段に続き、今場所も全勝で通過し、まずは最短で幕下までは駆け上がりたかったところ。1敗したことで、三段目中位の番付から、それはかないそうもないが「(1場所1場所という考え方は)変わらない。先場所より今場所、場所ごとに成長を求めて、というかね」と慎重に言葉を選んでいた。