大相撲の元関脇で西十両11枚目の安美錦(40=伊勢ケ浜)が現役引退を表明した。名古屋場所2日目に古傷の右膝を痛めて休場し、来場所は幕下への陥落が確実となっていた。アキレス腱(けん)断裂など度重なるケガを乗り越え、関取在位117場所は歴代1位タイ。記録にも記憶にも残る名力士が、22年半の土俵人生に別れを告げた。今後は年寄「安治川」を襲名し、同部屋付きの親方として後進を指導する見通し。

<安美錦引退関係者のコメント>

◆伊勢ケ浜親方(師匠=元横綱旭富士)ここまでやったんだから本人が納得すればそれでいい。けがと向き合い、稽古をして長く相撲を取った。誇らしいじゃないですか。

◆浅香山親方(元大関魁皇)相撲センスを努力で生かし、何でもできた。真面目にやってきた安美錦の引退で、お手本のような力士がいなくなった。

◆横綱白鵬(同じ一門)新弟子の頃から稽古をつけてもらって(太刀持ちで)長く土俵入りもやってもらった。寂しい。(親方として)安美錦関らしい技能派の力士を育ててもらいたい。

◆横綱鶴竜(初顔合わせから6連敗)自分にとって壁でした。どうすればこの人に勝てるのかと。自分が強くなるために欠かせなかった人。「油断できない」という言葉が、一番よく似合う人。

◆関脇御嶽海 40歳までなんて、いや~やれないですよ。巡業でよく声をかけてもらって。「稽古さぼんな」が口癖でしたね。

◆琴奨菊(安美錦にとって最多対戦51回)驚いた。安美錦という名前を聞いただけで雰囲気を感じる。あの体でいつも前向き。(人間的に)面白い、ユニーク。これからもいろんなことを聞きたい。

◆炎鵬(十両で1勝0敗)巡業でよく話し掛けてもらった。優しい人。初対戦は怖かった。僕には“テレビの中の人”で、雰囲気がすごかった。

◆宝富士(同部屋)出ると思っていたのでびっくりした。40歳までやるのはすごい。あんまり言うと泣いちゃうんで…。

◆阿武咲(同じ青森県出身)自分は変にプライド高いんですが、安美錦関の言葉は素直に聞けます。自分の父と同い年。すごいでしょ? 悔いないんでしょうね。かっこいいな。