14日目は勝つことだけを考えて注文相撲で白星を取りに行った御嶽海が、最後は自分の相撲を取ることに徹した。

目の前の本割で貴景勝が、やはり満点の押し相撲で勝ったこともあるが自分の相撲を取りきらないといけない、と1日で気持ちをガラッと変えられた。優勝決定戦は完全な当たり勝ち。立ち合い負けした貴景勝が、引かざるを得ないほどの圧力をかけられたのも、本割で対戦した8日目の苦い思いがあったからだろう。あとは体力差にものをいわせての完勝だった。

不在の両横綱、ふがいない大関を除けば最上位の御嶽海が番付通りに勝った。大関復帰の貴景勝に、すぐにでも続いて令和の時代を2人で引っ張ってほしい。期待するのは、泥まみれになって稽古する御嶽海の姿だ。単なる数字合わせでなく、普段の稽古から「御嶽海は変わったな」と思われるようになれば、大関候補から「候補」の2文字が取れると思う。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)