上位陣の休場者が続出したとはいえ、終盤13日目の結びから2番前、それも先場所優勝決定戦でぶつかった役力士同士の対戦としては寂しい内容だった。御嶽海のふがいなさだ。前日の12日目、目の覚めるような相撲で朝乃山を一蹴した、同じ力士とは思えない。貴景勝の出足に、なすすべなかった。

場所前の報道からは、大関昇進に向かって稽古の番数も増やすなど、前向きな姿勢は感じ取れた。それが3日目に、右目の上を切ってから御嶽海が御嶽海でなくなってしまった。頭同士で当たって裂傷を負うなど相撲には付きもの。そんなことを嫌がって、こわごわと取っていては大関になどなれない。誰にも弱みはある。それは腹の中に隠し誰にも見せない心の強さが、御嶽海にはほしい。素材は文句なしにある。14日目は白鵬戦。関脇を維持して「大関候補」として残るためにも存在感を示してほしい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)