大相撲冬巡業に参加している関取衆ら協会員の中で、インフルエンザが流行している。大分市で冬巡業が開催された6日までに、十両栃煌山(32=春日野)や巡業部の花籠親方(元関脇太寿山)、関取衆の付け人を務める若い衆ら約10名がインフルエンザに感染して巡業を離脱した。

この日の朝には発熱を訴えた十両蒼国来が市内の病院で検査を受けた結果、インフルエンザと診断されて帰京した。3日には膝の痛みを訴えた前頭琴奨菊が、4日には来場所の新三役が濃厚の前頭大栄翔が「溶連菌感染症」により帰京。巡業各地の大相撲ファンが関取衆の来訪を待っている中で、不運にも相次いで関取衆が離脱している。

関取衆も警戒心を募らせる。この日の支度部屋では、会場内の救護室から提供されたマスクを着用して、予防に努める関取衆の姿が目立った。力士会会長の横綱鶴竜(34=陸奥)は「若干自分も喉が痛くて薬を飲んだので大丈夫です」と話した。その上で「(移動用のバスの中が)ちょっと暑すぎるときがある」と、体調を崩す一因として指摘した。

インフルエンザに感染した栃煌山と4日の宿舎で同部屋だった前頭碧山(33=春日野)は「(栃)煌山関はつらそうだった。寝てるようで寝てない状態だったと思う。熱も40度近く出ていたから」と心配した。碧山自身も熱っぽい症状があるようで、先日病院に足を運んだという。「自分は大丈夫。これもあるし」と、病院で処方された抗生物質を取り出して万全を強調した。

巡業参加者は約2週間後の18日に東京・両国国技館の診療所で予防接種を受ける予定だったが、それを前にしてインフルエンザが襲いかかってきた。冬巡業は全11日のうち5日を消化して、後半戦へと突入する。巡業部の入間川親方(元関脇栃司)は「個々で対応するしかない」と、体調の自己管理を求めた。