大相撲春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)で大関とりに挑戦する関脇朝乃山(25=高砂)が始動した。6日、東京・墨田区の部屋で稽古を再開させ、四股やテッポウなどの基礎運動で汗を流した。昇進目安は12勝だが「高い目標、優勝を目指したい」と、2度目の賜杯獲得を堂々と宣言。平幕力士との対戦を取りこぼした初場所の反省を生かし、持ち前の真っ向勝負を貫く。

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朝乃山が大関とりに向け、1歩を踏み出した。「2月は巡業もない。しっかり体をつくるために筋力トレーニングをしたり、体で痛いところがあったらケアをしたい」。この日の稽古再開日、テレビカメラ1台を含めて報道陣20人近くが集まった。次期大関候補の筆頭として熱視線を浴びる25歳は、稽古中に若い衆と会話して、時折笑顔を浮かべるなどリラックスムード。四股、すり足、テッポウの基礎運動を淡々とこなした。

新小結の昨年九州場所で11勝、新関脇の初場所で10勝を挙げた。大関昇進の目安は三役で3場所33勝。春場所で12勝すれば数字上で到達するが「優勝を目指したい」ときっぱり言った。

一方で白星以上に重要視するのが、真っ向勝負の相撲スタイルだ。「ファンや親方が見ている。小細工したと思われたくない。正攻法で当たっていきたい」。入門以来、変化をしたことは1度もない。師匠の高砂親方(元大関朝潮)が「(朝乃山を)小細工なしに育てたい」と発言した記事を見て「絶対に変化しない」と心に誓っている。

初場所では2大関を撃破しながら、平幕相手に取りこぼす場面も目立った。「(幕内上位には)兄弟子や年上がいるけど、大相撲は番付の世界。下には取りこぼしができない」。謙虚で温厚な性格だが、役力士としてのプライドはあふれ出る。1カ月を切った勝負の場所。「期待に応えたい」と、決意を固めた。【佐藤礼征】