西前頭筆頭の大栄翔(27=追手風)が初優勝を果たした。勝てば優勝、敗れれば決定戦に持ち込まれる可能性もあった大一番で、隠岐の海を突き出して13勝目。埼玉県出身では初、追手風部屋としても初めての優勝となった。

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埼玉県出身の力士として初めての優勝を果たした大栄翔の家族は、テレビ画面越しで歓喜の瞬間を見届けた。母恵美子さんと兄一直さんは24日、埼玉県朝霞市内の飲食店でテレビ観戦した。十分な感染対策をとりつつ、後援者や地元のファンが15人集まり、優勝決定時と賜杯を受け取ったときには万歳三唱が起こった。

取材に応じた恵美子さんは、息子の快挙について問われると10秒ほど言葉を詰まらせ「親孝行な息子です」と涙を流した。「今まで努力は惜しまないと思っていたので、いずれは、幕内優勝してくれると期待はしていましたが、こんなに早くこういう時期が来るとは夢のようですね」と感慨深げに話した。

一直さんは「まさかこんなに活躍できる力士になるとは夢にも思っていなかったのと、すごいうれしいというのが率直な今の気持ちです。コロナ禍で会うことはできないですが、もし会うことができたら、『よく頑張ったね』と言ってあげたいと思います」と話した。

大栄翔は今後、大関候補としての期待もかかる。恵美子さんは「まだ上の番付があるので一歩ずつ進んでくれればいいと思います」とエールを送った。