日本相撲協会は28日、東京・両国国技館で理事会を開き、3月14日初日の春場所の会場をエディオンアリーナ大阪から両国国技館に変更することを決めた。

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地方場所開催のハードルは依然として高かった。昨年は7月の名古屋、11月の福岡が東京開催に変更。地方場所は無観客開催した昨年3月の春場所を最後に途絶えており、電話取材に応じた芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「大阪の方々の相撲熱はある。(東京での)連続開催を防ぎたかった。(大阪開催なら)後援会の維持にもつながる」と、複雑な心境を明かした。感染状況の不透明さや、宿舎内での感染予防、感染時の医療体制の確保など課題は多かった。

3月1日の番付発表を東京で行い、初日直前に大阪入りする案もあったが「東京の部屋と違って感染対策が不十分になる可能性も高い」と芝田山広報部長。「全部が全部、備わっているわけではない。万が一、感染者が出た場合、隔離する部屋もないかもしれない。宿舎の方に迷惑をかけるかもしれない。それに、入院するのも困難かもしれない」。

さらに感染症の専門家が会場のエディオンアリーナ大阪を視察したところ「国技館並みの(感染)対策は困難」と判断されたという。同広報部長は「ワクチン接種もまだ。メリットとリスクの内容をはっきりさせて決議した」と説明した。

観客数は初場所と同じく5000人を上限とする方針だが、政府の要請に応じて柔軟に対応していく。初場所と同じように、場所前に全協会員を対象としたPCR検査を実施するかは未定。同広報部長は「何にでも準備期間は必要」と、危機感を募らせた。