日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)の定例会合が29日、東京都内で開かれた。春場所中に引退表明した横綱鶴竜(35=陸奥)に対し、横審は昨年11月場所後の定例会合で、横綱白鵬(36=宮城野)とともに「注意」を決議していた。

鶴竜の決断について、横審の矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)は「注意の措置を真摯(しんし)に受け止めたものの、再起の努力は実らず横綱の責任を果たせないと決断したと受け止めている」と察した。その上で「横綱として力士として立派な実績を残し、努力の人ではなかったかと思う。人間的にも温厚で、粗暴な振る舞いもなく、多くのファンの心をとらえたのではないか」と評価。親方として「後進の指導に励んでほしい」と期待した。

また、春場所優勝で大関復帰を確実にした関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)についても言及。「奇跡的な復活で多くのファンの心をとらえ、共感を得た」と評価し、さらに1人横綱となったことから「大関陣を先頭に競い合って上を目指してほしい」と期待を寄せた。