日本相撲協会は27日、東京・両国国技館で理事会を開き、元横綱稀勢の里の荒磯親方が8月1日付で田子ノ浦部屋から独立し、荒磯部屋を新設することを承認した。同部屋から序二段足立、序ノ口西原、谷口、加藤の力士4人、幕下行司の木村隆之助らと転属する。

荒磯部屋は地元の茨城・牛久市に隣接する阿見町に、来年夏ごろの完成を目指して準備中だ。それまでは同県つくばみらい市にある仮部屋で生活し、稽古場は筑波大にある柔道部などが入っている武道館に設置予定。代表取材に応じた荒磯親方は「親御さんから預かった弟子を強くさせ、成長させることが目標。伝統文化を継承し、弟子にも伝えていきたい。力士としての振るまい、言動も大切にしたい」と抱負を語った。

関係者によると、荒磯部屋は約300坪の広大な土地に新設されるという。同親方は3月に卒業した早大大学院スポーツ科学研究科の修士課程1年制で、相撲部屋の在り方などを研究。稽古の効率性を考えて土俵を2つ作れないか、部屋内に親方や弟子が話し合えるミーティングルームや観光客用に部屋オリジナルグッズなどを置いたお土産コーナーを設置できないかなど、固定概念に縛られない相撲部屋を研究してきた。

多くの相撲ファンに惜しまれながら19年初場所で現役引退し、部屋付き親方として後進の指導にあたってきた荒磯親方。「相撲の普及面を含め、地方の広い土地なら自分のやりたい育成ができる。故郷の茨城県へ恩返しをしたい気持ちもある」と話した。