「ぎっくり腰」で初日から休場していた関脇高安(31=田子ノ浦)が3日目から土俵に上がり、巨漢の逸ノ城を寄り切って今場所初白星を挙げた。

差し手を何度か振りほどかれたが、最後は左差しで前に出た。「落ち着いて前に攻めることができました。バタバタしないように、しっかり頭を上げないように、それだけ考えていました」と振り返った。

高安は初日の4日、日本相撲協会に「急性腰痛症により約10日間の安静、休養が必要」との診断書を提出して休場した。師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)によると、痛めたのは1日の稽古後だったという。

腰の状態について高安は「おかげさまで良くなりました。多少の痛みだったら(初日から)出たかったけど、歩けない状況だったので。痛みがあるとなかなか思うような相撲が取れない。(今は)万全な状態になりました。稽古はしてましたので、しっかり今日に向けて調整できたと思います。体も元に戻りました」と明るい声で万全を強調した。

名古屋入りしたのは初日の4日だったという。「治すことだけに専念した。ずっと寝たきりだったけど、しっかり治療することができた。初日に(名古屋に)入り、こっちでケアしてきた」。休場中の2日間は、テレビで本場所の取組を観戦。「しっかり他の力士の相撲を見て、今後の参考になればと思って過ごしていました」。

春場所は小結で10勝、夏場所は関脇で10勝を挙げており、今場所は成績次第で19年九州場所以来となる大関復帰の可能性がある。審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は場所前に「10番、10番なので、優勝でもすれば」と話していた。高いハードルが設けられている見通しだっただけに、今場所後の大関復帰は厳しい状況ではあるが、高安は「今日が初日だと思って千秋楽まで優勝争いに絡めるように落ち着いてやっていきたい」と前向きに語った。