西前頭6枚目宇良(29=木瀬)が、初の結びの一番に臨み、横綱照ノ富士(29=伊勢ケ浜)に負けたものの、大いに土俵を沸かせた。

まわしを取らせまいと、頭をつけて勝機を伺った。何度か肩すかしを試みるも決まらず、足取りも不発。1度離れて距離を取り、見合うようにして揺さぶった。それでも照ノ富士の牙城は崩せず、右下手を取ったが左上手を取られて上手投げに屈した。最後は下手を離さずにブリッジ姿勢で残る場面もあったが、背中から落ちた。

取組後に率直な心境を明かした。「言いにくいですけど、下手を取って上手取られた時に(観客の)ため息がのしかかった」と苦笑。「ちょっと落ち込みましたね。ここからだと思っていたので。やってやろうと。諦めてなかったから」と振り返った。ただ、それはネガティブなことではなく「それをプラスにとらえた。みんなが応援してくれているから。嫌みではないです」と人気力士だからこその会場のため息にも感謝した。

初の結びの一番で、17年名古屋場所9日目の日馬富士戦以来の横綱戦だった。金星獲得とはならず「感覚的には横綱が受け止めてくれたという感じ。自分もいろいろ仕掛けさせて頂いたけどどれも通用しなかった」と完敗だった。4勝6敗として残り5日。「上位は厳しいですね。最後まで取り切れるように頑張ります」と意気込んだ。