日本相撲協会は27日に定例理事会を開き、幕内英乃海(32)と十両紫雷(しでん、30=ともに木瀬)への処分を決める。両力士が違法賭博店に出入りしていた疑いが昨年12月に発覚。調査を進めていた日本相撲協会のコンプライアンス委員会は、英乃海に出場停止1場所、紫雷へは出場停止なし、との答申をまとめたことが24日、分かった。これはあくまで答申であり、理事会が審議して処分を決める。

両力士はすでに埼玉県警から事情聴取を受け、埼玉県草加市の違法賭博店(昨年9月に摘発)への出入りと、賭博に関与したことを認めている。捜査関係者によると、2人は関与を認めているものの、店への出入りは数回で、賭け金も少なかったことを証言。不起訴になる見通しだ。

証言によれば、2人が来店した時期は日本相撲協会が外出禁止としていた時期ではないという。紫雷は来店当時、日本相撲協会が一人前として認める関取ではなく、英乃海の付け人として同行していた。これらの事情を受け、コンプライアンス委員会は英乃海に1場所出場停止、紫雷にはおとがめなしとの答申に至った。

2人は、師匠の木瀬親方(元幕内肥後ノ海)の判断により、初場所を休場した。東前頭8枚目の英乃海は十両への陥落が確実。新十両として東12枚目だった紫雷は、関取として一番も取ることなく、幕下へ落ちる。

2人は反省している一方、答申案は協会内にうわさで広まっており、軽い処分方針に親方衆の受け止めはさまざまだ。木瀬部屋に近い親方は「そんなに重くならないと聞いている。それならありがたい」と話す。だが、コロナ禍のガイドライン違反で大関朝乃山は6場所出場停止、竜電は3場所出場停止の処分をそれぞれ科されている。「朝乃山は法を犯したわけでなく、キャバクラに行っただけ。違法行為の力士が、こんなに軽い処分でいいのか。大甘でしょう」と疑問を呈する親方もいる。

御嶽海の大関昇進は、26日に正式決定する。定例理事会は慶事の翌27日、両国国技館で開催される。

 

◆コロナ禍の角界の不祥事 幕内の阿炎が20年7月場所中に不要不急のキャバクラ通いをして3場所の出場停止、減給処分を受けた。21年2月には当時の時津風親方(元前頭時津海)が、同年の初場所中にマージャン店に出入りをして、退職勧告処分が決定。同年夏場所中には大関朝乃山が、場所直前に不要不急の外出を繰り返したことが判明した。出場停止6場所、6カ月50%の報酬減額の懲戒処分が決定。虚偽の報告をしたこと、看板力士としての立場から処分が重くなった。賭博では、10年5月に野球賭博問題が発覚し、元大関琴光喜や大嶽親方(当時、元関脇貴闘力)が解雇処分を受けた。