不祥事による休場をへて自己最高位に上り詰めた。日本相撲協会は2月28日、大相撲春場所(3月13日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付を発表した。

初場所、西前頭6枚目で12勝と優勝争いに絡んだ阿炎(27=錣山)が新関脇に昇進。協会のガイドライン違反による出場停止から復帰を果たし、次期大関候補に名乗りをあげる。

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幕内復帰3場所目で目標に到達した。「師匠が関脇を務めていたので、入門してからずっと師匠を超えるのが夢だった」。新関脇の阿炎が、元関脇寺尾の錣山親方の最高位に追いついた。

大相撲界から消えそうな危機をへて、自己最高位を更新した。20年7月場所中、コロナ禍でのキャバクラ通いなど協会のガイドライン違反で出場停止処分を受けた。昨年春場所、幕下下位から再出発し、番付を戻してきた。再入幕してから2場所、いずれも優勝争いに絡む12勝。次期大関候補に浮上し、「ここが最後の番付ではないのでしっかり上を見つつ、自分を見ながら進んでいきたい」と決意表明した。

かつての「やんちゃ」一直線から生まれ変わった。「いろんな方から変わったと言ってもらった。自分の中では足りないと思っているが、周囲の支えで自分の心を強くする1年だったと思う」。奔放な言動で協会に呼び出されて叱られたこともあったが、今はただ相撲だけに向き合う。その結果が「新関脇」となった。

相撲の動画を見て、今は同じ長い手足で突き押しの元横綱曙に心酔している。「自分は速い相撲を目指している。1歩でも速く立ち合いで当たりたい」。関脇の上にある大関、横綱へ、改心した阿炎は探求を続ける。【実藤健一】