大相撲春場所で悲願の初優勝をあと1歩で逃した元大関の高安(32=田子ノ浦)が、夏場所(5月8日初日、東京・両国国技館)に向けて順調な仕上がりぶりを語った。

1日、報道陣の電話取材に応じ「良い感じで場所前の稽古している。大関時代より今が一番強いと思っています」。東前頭筆頭として臨む今場所について「一番は千秋楽まで優勝戦線に加わるのが目標ですから。初日から千秋楽まで良い相撲を取りたいです」と意気込みを語った。

稽古後に取材に応じた高安は「部屋のお相撲さんと50番くらい取りました」。ハードなトレーニングにも疲れの色を感じさせない。「押し相撲、四つ相撲…。若い衆たちの中にはいろんな個性のお相撲さんがいますんで、数をこなせば下半身にも効いてくる。ポイントを抑え考えながら工夫して取ることができて、良い稽古ができた」と力強い声で言った。

春場所は初日から10連勝で優勝争いをけん引したが、終盤にまさかの失速。12勝3敗で迎えた優勝決定戦では関脇若隆景に敗れ、賜杯を逃した。場所が終わった後には何度も映像を見返したと言い「反省しなきゃいけない相撲をしっかり分析した」。

悔しさが残る先場所の後半戦について「明らかに攻め急いだ。序盤から中盤にかけての相撲を取れれば良かったんですけど、それができなかった」。それでも「短期間で自分の中で消化しました。また一つ良い経験になった」と前向きに捉える。

東前頭7枚目から同筆頭に番付を上げて臨む夏場所では「当たり前の相撲を当たり前に取り続ける」。その心は「ここ1、2年くらい稽古場ですごく良い相撲が取れている。稽古場での相撲が今場所でも取れれば、負けることはない」ときっぱり言った。

妻で演歌歌手の杜このみとの間に授かった第2子は今年8月に出産予定と明かし「家族の応援が支えになる。感謝の気持ちを忘れずにいきたい」。周囲の支えを力に変えて、32歳のベテラン念願の優勝へ準備を急ぐ。