高見山を超えて、大関を撃破した。西前頭3枚目の玉鷲(37=片男波)が過去3勝27敗と苦手にしていた大関御嶽海を押し出し、4勝1敗とした。この日で通算連続出場を1426回とし、元関脇高見山の記録を抜いて単独4位となった。“鉄人”は今日6日目、横綱照ノ富士から3場所連続の金星を狙う。御嶽海、正代の2大関が黒星。5戦全勝は碧山と一山本の平幕2人となった。

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体に刻み込まれた勲章がある。初めて番付に載った04年春場所から19年、1度も休まず土俵を務める玉鷲が、1つの節目を「大関撃破」で飾った。

過去3勝27敗の合口の悪さが信じられないほどの快勝だった。「すごくよかった。バタバタしないよう、じっくりおっつけていった。(チャンスに)自分を信じて前に出ることができた」と振り返る。立ち合いから厳しい左おっつけで主導権を握り、大関の体が起きた隙を逃さず一気に出た。

この日で通算連続出場は1426回となった。外国出身・外国籍初の関取となったパイオニアで、明るいキャラクターでも人気だった元関脇高見山の記録を抜いて単独4位となった。ただ、「(高見山に比べ)全然、まだまだ自分はダメなんで。もっと力士らしいところを見せていきたい。名前をつぶさないように頑張りたい」と謙虚に語る。

偉大な記録だが、玉鷲は意識から外していたという。「忘れていた。気にしていないです。現役の間は(記録は)あまり関係ない」と言った。だが、周囲の支えには感謝する。「もちろん自分だけじゃない。守るものもあるし、家族もいるし、応援してくれる人がいる。そういう人たちのために痛いと言っている場合じゃないですね」と言った。

若々しい相撲で4勝1敗と序盤ながら優勝争いにも絡む。そして6日目は横綱照ノ富士に挑む。今年初場所、春場所と連続金星。先場所は37歳4カ月の昭和以降5位、平成以降では最年長の金星獲得だった。

「まだまだこれからなんで。明日もまた頑張っていきたい。今後も1つずつ積み上げたい」。鉄人記録をどこまで伸ばしていくか。以前にその秘訣(ひけつ)を「すこやかです。素直にやること」と話していた。穏やかな表情、口調の外にある強靱(きょうじん)な肉体で場所を盛り上げる。【実藤健一】