幕下は十両経験者の東36枚目大成龍(29=木瀬)が各段を通じて初の優勝を飾った。

6番相撲で大関経験者の朝乃山に土をつけた東28枚目勇磨(24=阿武松)との全勝対決。「何も考えずに、立ち合いだけ踏み込んでいこう」の言葉通り、迷いなくぶつかり一気に押し出した。「(相撲は)覚えていない。何がなんだか分からないうちに終わっていた」と言うほど無我夢中だった。

長い幕下生活。初めて上がったのが12年春場所で17年秋場所に新十両昇進を果たし、3場所経験も以外は幕下で過ごす。幕下は今場所で61場所目で、休場は12年九州場所の1場所だけだ。地道にコツコツ積み上げて初めての優勝に「実感がない。普通にうれしいです」とかみしめた。

昨年秋場所から前の大成道からしこ名を変えた。師匠木瀬親方(元幕内肥後ノ海)の勧めだった。「不調が続いていたんで師匠に言っていただいた。部屋に龍がつくしこ名が多く『昇り龍』のようにと」。改名してからは名前負けしないよう、日々の生活から気をつけるようになったという。

これで来場所は幕下上位に上がる。19年春場所以来の再十両へ。「(優勝で)まだやれるんじゃないかという気持ちになりました。来場所に向けて得た経験を生かしていきたい」と力強く語った。