1年納めの大相撲九州場所(13日初日、福岡国際センター)まで8日となった5日、先場所2度目の優勝を果たし三役に返り咲いた小結玉鷲(37=片男波)が、東京・墨田区内にある部屋での朝稽古を公開し、報道陣の取材に応じた。
自分以外は幕下以下の若い衆3人しかいない小部屋ながら、創意工夫の稽古で現役最多の通算連続出場や2度の優勝を果たしたベテランらしく、この日も若い衆に前後から押されながら、攻防を考えた土俵内の動きで、九州場所に備えた。
「20代とか若くないから気持ちは大事。(さらに)大きな体があるから、この武器を使う。気持ちは若々しく」と、独特の言い回しで現状の自分を見つめる。三役復帰で楽しみがある。「ちょっと違う景色が見られる」と話す、初日と千秋楽の協会あいさつで土俵に立つことだ。平幕上位で勝ち越しても、三役維持の力士が多いパターンが続き、なかなか三役復帰はかなわなかった。だから? 「(三役が空かないから)無理やり優勝したからね」と有無を言わせぬ昇進を決めたと、ちょっぴり自負する。
先場所の優勝を振り返った時、ターニングポイントになったことがある。その前場所、7月の名古屋場所を新型コロナウイルスで途中休場したことだ。初土俵から休場なしの「鉄人」にとって、いつもは場所から帰り部屋で見ていたテレビの大相撲中継を、じっと部屋で待機しながら見なければならなかったことは「ああ、こんな感じか。嫌だなって。みんなが遠く離れていくような…。動けないのは難しい。『あー』って大きな声を出したかったぐらい。食べて寝て食べて寝て、すごく気力がなくなっちゃった」と話すほど、耐え難いことだった。相撲を取れる喜びを感じながら抱いた秋場所の賜杯だった。
連続優勝の期待もかかる九州場所は「堅苦しい気持ちじゃなくて、自分のやれることを(やる)。9月は(優勝と言うより)勝ち越したから、11月も頑張らなきゃいけないと。しっかりやって結果はどうなるかわからない。それでいいんですよ」と気の持ちようもベテランならでは。角界の鉄人が、1年納めの場所も引き締めてくれそうだ。

