来年1月の大相撲初場所(8日初日、東京・両国国技館)で新三役となる琴ノ若(25=佐渡ケ嶽)が、新番付が発表された26日、千葉県内の部屋で会見した。

父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)との、親子三役は97年名古屋場所の小城ノ花-小城錦親子、栃東親子以来、史上6組目。琴ノ若は「うれしい気持ちもありますけど、気が引き締まります。1つの目標である三役に上がるということを達成できて、よかったなと思います」と喜びをかみしめた。

会見に同席した佐渡ケ嶽親方は「弟子が三役に上がるのはうれしいこと。これが琴ノ若にとってはスタート地点」と師匠の顔で話しつつ、父親としての心境を問われると「うれしいの一言」と、表情を緩めた。佐渡ケ嶽部屋の新三役は、16年夏場所の琴勇輝以来となった。

琴ノ若の祖父は元横綱琴桜で、先代の佐渡ケ嶽親方(故人)という、3代にわたる三役ともなった。会見では今年、元琴桜の先代師匠の映像を見て研究したことを、成長の1つの要因として挙げた。「ケガをする前は土俵際でさばく相撲が多かった。そこから攻める相撲、先代の押し相撲を研究して、押しを磨いていった」と、本来の四つ相撲に加え、突き、押しも光った。今年は年間最多勝の若隆景の57勝に次いで、豊昇龍と並ぶ幕内2位の55勝を挙げた。

自身のしこ名を継ぐ琴ノ若に対し、佐渡ケ嶽親方は「将来、琴桜の襲名もできるのではないか」と期待する。琴桜襲名の条件を問われた師匠は「琴ノ若が小さいころ(小学校)2年生、3年生ぐらいですかね。先代の師匠と応接間で、私がいない時に『琴桜は三役からもらえるの?』と聞いていたらしいんです。その時に、先代の師匠が『琴桜は横綱のしこ名だから、大関以上でないとやらん』と言われたそうです。大関に昇進すれば、琴桜を襲名しようと思っています」と明かした。琴ノ若は「これで終わりではないので、またしっかりと上を目指したい。師匠が言ってくださったように、先代の名を継げるように努力していきたいと思います」と、背筋を伸ばして話していた。