大関経験者の21年九州場所以来の幕内復帰は、お預けとなった。日本相撲協会は27日、大相撲春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付を発表し、再十両で土俵に臨んだ1月の初場所で14勝1敗の成績を収め十両優勝を果たした朝乃山(28=高砂)は、西十両12枚目から番付を大幅に上げたものの、東十両筆頭にとどまった。

幕内からは栃ノ心、逸ノ城、千代丸が十両に陥落し、さらに隠岐の海(現君ケ浜親方)の引退で幕内の枠は4つが空いた。だが初場所では、十両上位で好成績の力士が続出。金峰山、武将山、北青鵬が新入幕を果たし、大翔鵬も返り入幕を果たしたため“昇格順位5番目”の朝乃山は十両筆頭にとどまった。

6場所連続出場停止処分が明けた昨年7月の名古屋場所で三段目優勝(7戦全勝)、東幕下15枚目の秋場所は6勝1敗で再十両を逃した朝乃山は、東幕下4枚目の番付で昨年11月の九州場所の土俵に上がった。目標の7戦全勝は、またも“魔の6番相撲”で敗れかなわなかったが、6勝1敗の好成績で、先場所の十両復帰を決めた。

朝乃山は、日本相撲協会が定めた新型コロナウイルス感染対策ガイドラインに違反し、大関時代の昨年名古屋場所から6場所出場停止処分を受けた。その名古屋場所は、かど番大関だったため秋場所は関脇、九州場所は平幕の西前頭10枚目に番付を落とした。今年初場所では、17年秋場所から維持していた幕内の座からも陥落し、4年半ぶりの十両となる東十両4枚目に番付を降下。3月の春場所ではついに幕下に陥落(西幕下2枚目)し、関取の座も失った。全て全敗扱いのため、西幕下2枚目から5月の夏場所は同42枚目に降下し、7月の名古屋場所は東西で各90枚目まである三段目の西22枚目に位置されて復帰の土俵に臨んだ。

その名古屋場所は、しこ名の「朝乃山英樹」の、下の部分を「朝乃山広暉(ひろき)」と本名に変え心機一転で再起の土俵に上がり、危なげなく7戦全勝で優勝を果たした。東幕下15枚目で臨んだ、勝負の秋場所は前述の通り。先場所は幕下上位に関取経験者が名を連ね、幕下上位でもまれた若手も十両昇進を果たすべく、手ぐすね引いて待ち構えていたが、大関経験者の意地で何とか黒星を1つにとどめていた。

東の筆頭で臨む今場所は、幕内力士の休場力士数次第で、幕内の土俵に上がる可能性がある。ただ、自らの地位として幕内で相撲を取るのが直近の最大の目標だろう。また、三役復帰を果たすためにも、今場所は勝ち越しはもちろん、大勝ちすれば来場所は、番付運にもよるが幕内中位まで上がる可能性もある。高いレベルの2ケタ勝利を挙げ、夏場所に臨みたいところだ。