西前頭8枚目の宇良(30=木瀬)が、21年九州場所以来8場所ぶりに初日から3連勝を飾った。初顔の平戸海の猛攻を動き回ってしのぎ、チャンスを逃さず押し出した。ご当地場所でひときわ大きな歓声を受け、その期待に応える活躍を見せている。綱とりに挑む大関貴景勝は、正代を下して2勝目をつかみ白星先行。関脇豊昇龍は琴ノ若を下して初白星を挙げた。同じ関脇の若隆景は3連敗を喫した。

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好機と見るや、宇良が一気に攻めた。平戸海の攻めを素早くかいくぐり、バランスを崩したところを見逃さなかった。頭をつけながら左を差して組み合い、渾身(こんしん)のもろ手突きで押し出した。初日から3連勝は技能賞を獲得した21年九州場所以来8場所ぶり。経験に裏打ちされた、まさに会心の攻めだった。

ファンを魅了する業師。その人気はうなぎ上りだ。今年2月14日のバレンタインデーには、部屋に段ボール1箱分のチョコレートが届いたという。「50個くらい。30歳にして過去最大です」と驚きつつ、チョコと一緒に受け取った温かいメッセージの数々に感謝していた。

この日はホワイトデー。1カ月前のお返しと言わんばかりに、ファンが待ち望む白星を届けた。宇良は「今言われて、初めてホワイトデーだと知りました。結果的にそう(バレンタインデーのお返しに)なって良かったです」と喜んだ。

大阪・寝屋川市出身でご当地場所。「今までどこの場所でも変わらないですよと言っていましたけど、この声援を受けるのは自分の想像以上です」。勝利の瞬間は拍手喝采。地元の大声援に後押しされるように無敗を守ったが「たまたまです。まだ3日しかやってないんで」と冷静だ。4日目以降も「元気の良い相撲を取りたいです」。4年ぶりに通常開催となった土俵で応援を力に変え、さらに白星を伸ばす。【平山連】