幕下は東26枚目の龍王(29=二所ノ関)が東50枚目魁禅(29=浅香山)との「全勝対決」を制し、初の各段優勝を飾った。

立ち合いの差し手争いから大激戦。右四つから最後は左手を首に巻き付けながらの下手投げで勝負を決めた。「信じられません」と本音がもれた。

12年初場所、尾車部屋から初土俵を踏んだ。師匠の定年に伴い、二所ノ関部屋へ転籍。しこ名を竜風から龍王に変えた。「将棋の飛車が敵陣に入れば返って龍王になる。飛車は真っすぐしか進めないが、龍王は前後左右に動ける。土俵でも前後左右に動けるようにとのことでした」。その願いをまさに今場所、体現してみせた。

最高位は昨年九州場所の東幕下16枚目だが、その更新は確実。来場所は関取の座に挑む。「今まで何度も挫折を味わい、悔しい思いをしてきた。お世話になった人たちに恩返ししたい。稽古して力をつけて土俵に向かっていけたらと思う」。苦労を重ねた経験を生かし、必ず花を咲かせる。