10日目まで白星を並べていた西前頭5枚目の翠富士(26=伊勢ケ浜)が、3連敗を喫し、ついに優勝争いから一歩、後退した。

関脇豊昇龍(23=立浪)との一番は、当たってからの出足を豊昇龍の肩透かしで逃され、頭を押さえ込まれながら土俵際に追い込まれた。そこから粘り腰で反転し土俵中央に寄り戻した。二本が入ったが、両腕をきめられながら寄り立てられ、これも残し右四つに。左上手を引いて頭をつけて食い下がったが、右を強烈に引きつけた豊昇龍の引きずるような投げに、バランスを崩し両足がそろい、下手投げで土俵にはわされた。

連日の健闘もむなしく、11日目からの三役との対戦で3連敗。小兵力士の健闘ぶりを、高く評価していた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、この日も報道陣のリモート取材に応じ「動いている時に決めたかったが、先手先手で攻めた豊昇龍に大きい相撲を取られた」と解説。14日目は、優勝争いでトップの座を譲り渡した小結大栄翔(29=追手風)との大一番となる。いま一度、小兵の頑張りに期待するように「終わったわけじゃない。明日、勝てばいい」と語った八角理事長だが、続けて「三役の壁というのは、やはり厚い」と番付差を認めていた。