元横綱鶴竜親方(37)の引退相撲が明日3日、東京・両国国技館で行われる。平成に誕生した横綱は旭富士(現・伊勢ケ浜親方)から稀勢の里(現・二所ノ関親方)まで10人で、鶴竜親方を除いて全員が既に断髪式を終えて第2の人生を歩んでいる。引退から2年余り。弟弟子の霧馬山改め新大関霧島が兄弟子の節目に約束通り昇進をつかんだことに「有言実行できて素晴らしい」と喜んでいる。

-引退から約2年。ついに引退相撲がやってきた

鶴竜親方 長すぎるよ。今は(まげが)邪魔すぎますよ。でも、いざその日になったら考えるかも。

-長年ともにしてきた、まげに別れを告げる

鶴竜親方 入門したのが16歳。17歳ぐらいから、まげを結っているので、もう21年一緒にいることになりますね。夏前に切れるから、これから汗をかいたら毎回シャンプーできるのがうれしいです。

-引退相撲の内容は

鶴竜親方 6歳になったばかりの息子と相撲を取ろうと、練習しています。いざ本番になって恥ずかしくなったらいけないので。でっかいイベントですから、自分1人ではなく、いろんな人のサポートのおかげで成り立っている。準備している中で、改めて思いましたね。

-本番に向けて、親方自身も稽古用の白まわしを着けて調整に励んでいる

鶴竜親方 体に少し張りを出さないといけないと思っています。筋トレもしっかりしています。四股を踏むと、次の日に体に張りが出てくる感覚がある。俺はそんなきれいな四股を踏むことはできないけど、やっぱり四股はすごいよ。

-力士たちと「相撲を取りたい!」とウズウズすることもあるのでは

鶴竜親方 ないよ。確かに稽古を見ていたら、口で教えるより、やって見させる方が簡単かなと思うこともあるけど。相撲を取ったり、胸を出したりするのは誰もやる人がいなかったらやるけど、自分はもういいよ。やり切ったから。現役の時にやり残したことはない。満足してるもん。

-引退後の計画は

鶴竜親方 終わったら、まずは痩せたいね。今はご飯を食べなかったら148キロくらい。とりあえず120キロくらいまで減らしたい。おなかが邪魔すぎて、服を買いに行こうと思ってもサイズがないのよ。いちいち、海外とかから取り寄せないといけない。今は4Lでは少し小さくて5Lくらいなんだけど、大きい服ってみんな一緒じゃん。着たい服が着れるようになるために痩せたいね。

-親方として後進の指導に当たりながら、体を絞る

鶴竜親方 現役の時は(太ももの)肉をつかむことができなかった。足の裏もいつも割れていたのに、2年も経てば普通に戻っちゃった。あの頃は自分の目標のために体にムチを打って、大変なことをやっていたんだなと思うよね。その無理を引退した後も続けていたら早死にしちゃうよ。健康が一番。

-相撲人口が減っている中、親方としては今後どう考えている

鶴竜親方 子どもたちを送り出す親御さんの身になって考えないといけないです。親御さんたちの心配をなくしたい。みんなが関取になれるわけじゃない。相撲界でうまくいかなかった時、引退後の就職先を作るとか。アマチュア相撲ともっと連携していきたいね。例えば、若い子たちが入りやすいようにドラフト制度のようなものを協会で作るとか。それは俺だけでじゃなく、他の親方もアイデアとして言っているよね。

◆鶴竜力三郎(かくりゅう・りきさぶろう)本名・マンガラジャラブ・アナンダ。1985(昭60)年8月10日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。01年9月に来日し同年九州場所で初土俵。06年九州場所で新入幕、12年春場所後に大関、14年春場所後に横綱昇進。幕内優勝6回。三賞は技能賞7個、殊勲賞2個。21年3月に引退し、陸奥部屋付きの親方として後進の指導に当たっている。