大相撲の大関経験者で西前頭2枚目の朝乃山(29=高砂)が、相次ぐけがを乗り越えて“復活プラン”を実現する。秋場所(10日初日、東京・両国国技館)に向けて5日、都内の部屋で稽古。7月名古屋場所の左上腕二頭筋部分断裂に続いて、8月27日に地元富山・氷見市で行われた夏巡業で右足親指を痛め、相撲を取る稽古はできず、四股などの基礎運動中心に汗を流した。調整遅れは否めないが「休む気はない」と出場を断言。年内の三役復帰という今年最大の目標へ「10勝以上を目指す」と誓った。

けがが少なく、特に場所前の調整遅れはほとんどなかった朝乃山も、来年3月の30歳を前に状況が変わってきた。先場所は、優勝した豊昇龍に敗れた際に左腕を負傷し、途中4日間休場した。夏巡業は治療優先で途中休場したが、地元富山県で4年ぶりに相撲を取るため、終盤に再出場。最終日の朝稽古で、前頭明生の下手投げで前のめりに倒れた際に右足親指を痛めた。

左腕の痛みは「全くないというわけではない」と完治はしていない。右足親指は「痛みが引いていない。土をかめないと相撲を取れない」。初日が5日後に迫っても、相撲を取る稽古ができていない。それでもぶつかり稽古で土俵上の感覚を養い「行けるなら」と、出稽古の可能性も模索。相撲を取る稽古は近日中に再開できる感触はある。「元の番付に戻る」という復活プラン実現へ。上位総当たりの番付で、試練を乗り越える決意だ。【高田文太】