セキュリティーの確かなホテルでの密室殺人、容疑を掛けられた男は雪に閉ざされた山荘に逃げ込み、訪れた敏腕弁護士とともにその真相に迫っていく。
真犯人の顔だけが見えない犯行時の描写は、被害者の鈍痛が伝わるようなリアリティーがあり、容疑者と弁護士の対話シーンには終始ヒリヒリした空気が流れている。
韓国初の海上犯罪スリラー「マリン・ボーイ」(09年)で注目されたユン・ジョンソク監督の新作が「告白、あるいは完璧な弁護」(23日公開)だ。7年前のスペイン映画「インビジブル・ゲスト」をリメークだが、ジョンソク監督のシャープな演出で、メリハリの利いた快作に仕上がっている。
IT企業社長の不倫相手がホテルの一室で殺害される。現場で逮捕された社長に逃げ道は無いようにみえたが、彼はそこに第三者がいたと主張。負け知らずで知られる女性弁護士を雇って真相究明に乗り出す。
すべての事実を知らなければ戦えないという弁護士の勧めに従い、社長はその不倫相手とともに起こしたかつての交通事故がこの殺人事件に関係しているかもしれないと告白を始めるのだが…
社長役は「ごめん、愛してる」(04年)でブレークし、今や脂ののりきったソ・ジソブ。弁護士は傑作「シュリ」(99年)からいい具合に年輪を重ねたキム・ユンジン。不倫相手には、女優としての地位も確立しているガールズグループAFTERSCHOOLのナナ、と選び抜いたような配役で、協調したり出し抜きあったりの迫真のやりとりで、ほどよい感じで「真相」をチラ見せしていく。
3人は何度もリハーサル重ね、それぞれのキャラクターを作り込んでいったという。表情のきめ細かい変化が真偽の境目を表しているようで目を離せない。
照明や色使いを抑えた室内描写がそれぞれの表情の陰影を映し、推理のポイントとなる小道具を浮かび上がらせる。
密度の濃い1時間45分。予想を覆されながら、何度か訪れる転換点がすっきりと見えやすい演出で、最後には気持ち良く膝を打てるサスペンス・スリラーだ。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)




