2月14日に米フロリダ州にあるマージョリー・ストーマン・ダグラス高校で起きた銃乱射事件で教師や生徒17名が犠牲となってから1か月以上が過ぎましたが、24日には「March for Our Lives(命のための行進)」と題した大規模な抗議デモが全米各地で行われ、多くのセレブが参加しました。銃乱射事件で生き延びた高校生が中心となって立ち上げた銃規制を訴える運動「Never Again(二度と繰り返さない)」と銃暴力対策を掲げる市民団体が共同で行ったもので、ジョージ・クルーニー夫妻やポール・マッカートニー、マイリー・サイラス、アリアナ・グランデ、キム・カーダシアンとカニエ・ウエスト夫妻ら多くのセレブが若者たちと一緒に街中を行進し、二度とこのような悲劇を繰り返さないよう、「人々の命と学校の安全を最優先させるべきだ」と訴えました。

 クルーニー夫妻は昨夏に誕生した双子の子供たちの名前でMarch for Our Livesに50万ドルを寄付して支援している他、スティーブン・スピルバーグ監督や人気司会者のオプラ・ウィンフリーらも、それぞれ同額を寄付。また、レディー・ガガやジェニファー・ロペスらはフロリダ州から首都ワシントンDCの集会に参加する高校生たちのために17台のバスを提供するなど、多くのセレブがこの運動をバックアップしています。さらにSNSでも、ジャスティン・ビーバー、デミ・ロヴァート、テイラー・スウィフト、ブレイク・ライブリー、リース・ウィザースプーンら人気セレブたちも銃規制を訴えており、銃問題が再び大きく動き出そうとしています。

 ワシントンDCで行われた集会では、サイラスが「Never again(二度と繰り返さない)」と書かれたボードを持ってステージに登場。「スカイスクレイパー・クライム」を歌い、一緒に参加したロヴァートが「私たちの声をひとつにしましょう」と観衆に語りかける場面も。また、10年前に母と兄、そして甥の3人を銃で撃たれて亡くしているジェニファー・ハドソンはトリでステージに登場し、ボブ・ディランが1964年に発表したプロテストソング「時代は変わる」を熱唱し、フィナーレを飾りました。さらに、ビートルズの仲間だったジョン・レノンを凶弾で亡くしているマッカートニーは、「銃による暴力を終わらせることができる」と書かれたTシャツを着てナンシー夫人と共にニューヨークのデモに参加。「友人がこの近くで銃によって殺された。銃による暴力がなくせるかどうかは分からないが、私たちにできることがある」とCNNテレビに語り、レノンを追悼していました。一方、ロサンゼルスで行われた集会には、元カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーやティム・ロビンス、ケンダル・ジェンナー、エイミー・シューマーらが参加した他、テキサス州オースティンの集会ではマシュー・マコノヒーがステージに上がり、若者たちを支援する姿も見られました。

 ハリウッドではこれまでも銃乱射事件が起こるたびに多くのセレブたちが銃規制を訴えてきましたが、銃規制反対の急先鋒で全米最大のロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」から巨額の寄付を受け取っている政治家たちは、銃規制には逃げ腰なのが現状。この日も多くの高校生たちが、NRAから寄付金を受け取っている政治家に対し「恥を知れ」と批判する場面もありましたが、NRAは「銃嫌いの金持ちやハリウッドのエリートたちが若者を操り、武器所持の権利を定めた憲法を破壊しようとしている」とSNSで集会に参加したハリウッドセレブらを攻撃しています。

 コロラド州コロンバイン高校で銃乱射事件が起きてから19年目となる4月20日にも授業をボイコットしてデモを行うことが計画されており、「自分たちができなかった銃規制を、若者たちならやってくれるだろう」とクルーニーは語っており、今後も多くのセレブと高校生が共に銃のない社会の実現に向けて訴えを続けていくことでしょう。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)