5日にロサンゼルスで交通事故を起こし、脳死状態となっていた女優アン・ヘッシュさんが、事故から9日目となる14日に臓器提供のため延命装置が外されたことが発表されました。

事故直後に昏睡（こんすい）状態となっていたヘッシュさんは、回復の見込みがなく、12日に脳死と判定されたことを家族が公表していました。ヘッシュさんは臓器提供を希望していたため、この時点では延命装置の装着を継続しており、心臓は動いている状態でしたが、脳死は法的に死亡と見なされるカリフォルニア州の法律に沿って亡くなったことが発表されていました。

交通事故で亡くなったアン・ヘッシュさん（AP）

映画「ボルケーノ」（1997年）や「6デイズ／7ナイツ」（1998年）などで知られ、1987年に出演したテレビドラマ「アナザーワールド」でエミー賞を受賞しているヘッシュさんは、ミニクーパーを運転中に住宅に突っ込む事故を起こし、車と住宅が炎上。住宅に突っ込んだ状態で車内に閉じ込められたヘッシュさんを救出するまで1時間を要し、住宅は全焼する大事故でした。大やけどを負ったハッシュさんは病院に搬送されたものの、脳に重篤な損傷を負っていたことから回復することはかないませんでした。事故原因は明らかになっていませんが、血液検査の結果、ヘッシュさんは事故当時、薬物の影響下にあったことが分かっています。

かつて交際していた同性パートナーでコメディアンのエレン・デジェネレスや、女優セルマ・ブレア、ジェームズ・ガン監督ら多くの仕事仲間がSNSに追悼のメッセージを投稿し、衝撃的な死を嘆いていますが、ハリウッドでは過去にも衝撃的な交通事故で命を落としたスターがいます。

1955年に初主演した「エデンの東」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、その後立て続けに「理由なき反抗」（1955年）「ジャイアンツ」（1956年）に出演し、彗星の如く現れてセンセーションを巻き起こした若きスター、ジェームズ・ディーンさんは、デビューからわずか半年後に自動車事故によってこの世を去っています。

カーレースが好きだったディーンさんは、「ジャイアンツ」の撮影終了後にカーレースに参加するため自らポルシェのレーシングカーを運転中に、ロサンゼルス郊外の一般道で大学生が運転する車と衝突する事故を起こし、24歳の若さで帰らぬ人となりました。

「ワイルド・スピード」シリーズで知られるポール・ウォーカーさんは、2013年11月に友人が運転するポルシェに同乗中に衝突事故で40歳の若さで亡くなっています。チャリティーイベントに出席した後、友人でレーシングドライバーのロジャー・ロダスさんが運転するポルシェ・カレラGTの助手席に乗って帰宅する途中の事故でした。

03年に来日したときのポール・ウォーカーさん（03年8月撮影）

ロサンゼルス郊外サンタクラリタで起きた事故は、制限速度の倍以上となる100マイル（約160キロ）の猛スピードで走行していたポルシェが、コントロールを失って街灯や街路樹に衝突して炎上、爆発する衝撃的なものでした。事故直後に現場に居合わせた人たちが燃える車から2人を救出しようとしたものの火の手に阻まれ、車は原型を留めないほど悲惨な事故で、その場で2人の死亡が確認されました。

ウォーカーさんは事故当時、「ワイルド・スピード」シリーズ第7弾「SKY　MISSION」を撮影中で、残りのシーンは2人の弟が代役を務めた他、一部はCGによる合成で作品を完成させ、これが遺作となりました。

音楽専門局MTVの人気番組で映画化もされている「ジャッカス」に出演し、命がけのスタントを披露してきたスタントマンで俳優のライアン・ダンさんは、友人と共に2011年にペンシルベニア州ウェスト・ゴーシェン・タウンショップでポルシェ911　GT3を運転中に、道路脇の林で炎上事故を起こして亡くなっています。

ウォーカーさんの事故と同様に、時速100マイルを超える速度で運転していたことが判明し、事故の数時間前に友人とバーで飲酒する様子をSNSに投稿していたダンさんからは、法的基準の2倍のアルコールも検出されたことが伝えられています。過激なパフォーマンスで人気だったダンさんの死因は外傷と熱傷によるもので、ガードレールを突き破って木に激突して炎上した車内から逃げ出すことはできなかったようです。【千歳香奈子】（ニッカンスポーツ・コム／芸能コラム「ハリウッド直送便」）