LA時間24日早朝、日本時間同午後10 時半頃から第95回アカデミー賞のノミネーションが発表されます。昨年は、「ドライブ・マイ・カー」が日本映画として初めて作品賞にノミネートされたことが大きな話題となりましたが、今年はどのような作品が候補入りを果たすのでしょう。先週に続き、ノミネートが予想される注目の後半5作品を紹介します。

■「RRR」

インド映画ながら超大作エンターテイメントとして欧米で大ヒットし、批評家やハリウッド関係者からも高評価を得る「RRR」は、「ドライブ・マイ・カー」に続いて非英語作品として作品賞ノミネートが期待されています。ニューヨーク批評家賞ではS.S.ラージャマウリ監督が監督賞に輝いたほか、15日に発表されたクリティック・チョイス賞では外国語映画賞と歌曲賞を受賞。多くの前哨戦で外国語映画賞を受賞していますが、アカデミー賞では「国際長編映画賞」部門で母国インドの代表に選ばれなかったことから、作品賞での一本勝負となっています。

■「エルヴィス」

22年6月、映画「エルヴィス」来日記念ワールドツアーフィナーレイベントに登壇したオースティン・バドラー(中央)とバズ・ラーマン監督(同右)
22年6月、映画「エルヴィス」来日記念ワールドツアーフィナーレイベントに登壇したオースティン・バドラー(中央)とバズ・ラーマン監督(同右)

「キング・オブ・ロックンロール」と呼ばれた伝説のロック歌手エルヴィス・プレスリーさんの半生を描いた伝説の物語を、「ムーラン・ルージュ」で知られるバズ・ラーマン監督が映画化。オースティン・バトラーがエルヴィスを熱演し、マネジャー役でトム・ハンクスも出演しています。プレスリーさんの一人娘リサ・マリー・プレスリーさんが12日に急死する訃報もあり、注目度が高まっています。

■「西部戦線異状なし」 ネットフリックスで配信中

ネットフリックスのドイツ語映画「西部戦線異状なし」は、先日発表された英国アカデミー賞で最多14ノミネートを果たすなど終盤で一気に追い上げを見せ、台風の目となる可能性が浮上。第一次世界大戦の西部戦線を舞台にドイツ軍兵士を主人公にした本作は、31年にアカデミー賞作品賞を受賞したハリウッド映画のリメイク版ですが、原作と比べてドラマ性がない分、より戦争の残酷さが伝わる作品になっています。

■「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」

22年12月、映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の来日会見で笑顔を見せる出演者。左からプロデューサーのジョン・ランドー氏、サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、ジェームズ・キャメロン監督、シガニー・ウィーバー、スティーブン・ラング
22年12月、映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の来日会見で笑顔を見せる出演者。左からプロデューサーのジョン・ランドー氏、サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、ジェームズ・キャメロン監督、シガニー・ウィーバー、スティーブン・ラング

09年に公開された「アバター」の13年ぶりとなる新作は、新技術を駆使して美しい「水の世界」を表現。前作は作品賞、監督賞、作曲賞など9部門にノミネートされ、美術賞、撮影賞、視覚効果賞の3冠に輝いており、今まで体験したことのない圧倒的な美しい映像で、世界興行収入が20億ドルを突破する大ヒットとなった今作も、技術部門に加えて作品賞や監督賞での候補入りも期待できます。

■「ウーマン・トーキング 私たちの選択」 23年初夏公開予定

「死ぬまでにしたい10のこと」(03年)などで女優として活躍したサラ・ポーリーの10年ぶりとなる監督作。「ノマドランド」(21年)のクロエ・ジャオ監督、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(22年)のジェーン・カンピオン監督に続き、女性監督の3年連続となる監督賞ノミネートが期待されています。本作はブラッド・ピットが製作総指揮を取り、ルーニー・マーラを主演に自給自足で生活するキリスト教一派の村で起きたレイプ事件の裏にある真実を描く実話を基にした物語です。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)