2017年1月から3年3カ月にわたって連載をさせていただいたこのコラムも、いよいよ今回が最終回となりました。最後は私が愛してやまないスポーツ新聞の紙面について、語らせてください。トーク編第55回「スポーツ新聞について今思うこと」。

五戸美樹(2020年1月、都内某所)
五戸美樹(2020年1月、都内某所)

■新聞は定期購読が一番■

私は新聞が好きです。もちろんネットニュースも見ますし、このコラムもWEB連載ではありますが、新聞を定期購読して、毎日紙の新聞を読んでいます。

■情報が詳しいところが好き!■

その理由はまず、重要な記事の情報が詳しいからです。速報性は圧倒的にネットニュースのほうがありますが、スマホ画面で読む時、短い記事のほうが読みやすいですし、大抵が電車の中など時間があまりない時に見ているので、長文の記事はあとで読もうと思ったまま読まないことが私は多いです。

紙の新聞は、適度に詳しいところが好きです。例えば3月20日の日刊スポーツの一面。埼玉・花咲徳栄高校が、グラウンドでセンバツの模擬開会式を行った記事が載っていました。模擬開会式を行ったこと自体は、前日のネットニュースで見ていましたが、紙面の一面には、模擬抽選会や紅白戦も行ったこと、エース投手が去年の夏の甲子園で敗れたことに責任を感じていることも、短い文章でわかりやすく書かれていました。

私はこういった紙面で得る情報に関して、「模擬開会式の前に、模擬抽選会もやっていたそうですね」と、ラジオのトークや普段の会話に取り入れており、とても頼りにしています。

■誤字脱字が少ないところが好き!■

紙の新聞を読む理由、2つ目は、誤字脱字が少ないためです。ネットニュースは比較するとどうしても誤字脱字が多いです。

私も速報性が重要なライブレポートを書いたことがあるので、気持ちはよくわかります。ライブが終わった瞬間に公開したいため、まず時間がありません。そして、自分の原稿に間違いがなくとも、掲載前に数名の方のチェックが入り、一部がカットされたり、順番を入れ替えられたりすることで、文章や助詞の順序が不思議な感じになってしまうのですが、もう一度こちらでチェックすることはなく、公開されますので、文章担当が「五戸美樹」と書かれるのが恥ずかしかったことがあります。

最近は、新聞紙上でも誤字脱字を見つけます。私が言うのも大変おこがましい話で、各社人手不足でお忙しいのだということは重々承知していますが、紙面の誤字脱字はなくしてほしいなぁと思います。

■頭に入るところが好き!■

紙の新聞を読む理由、3つ目は、紙のほうが頭に入るからです。これは個人の感想ですが、自ら光を発するスマホやPCから文章を読む時と、光の反射によって目に入る紙の文章を読む時では、記憶の定着が異なる気がしていて、私は紙に書いてある文字を読む時のほうが覚えられます。

以上の理由から、私は紙の新聞の定期購読を続けています。紙の新聞から離れてしまった方も、ぜひ戻ってきてほしいなと思っています。

■新聞は良いもんだ■

そのため、新聞社の皆さんには、紙の新聞を、諦めないでほしいと思っています。新聞記者の方と話している時に、「もう新聞は終わりだ」とか「購読が増える気がしない」といった、後ろ向きな発言をよく聞きます。新聞の人が新聞を信じないでどうするんですか、と思ってしまいます。

新聞には価値があります。情報はなんでもかんでも無料でもらえるものではない、優秀なビジネスパーソンはそのことを知っています。

もちろんネット利用は重要だと私も思います。これだけ無料の情報が溢れている時代に、紙の新聞がバブル時のような契約数になることは考えにくいとも思います。とはいえ、紙の新聞のファンも少なくないと思います。

■新聞のレイアウトが好きだ!■

日刊スポーツの紙のレイアウトのまま、手元のスマホでも読めるようなサブスク(サブスクリプション)があったらいいなぁといつも思います。権利関係が難しいかもしれませんが、希望だけ言わせてもらうとしたら、スマホでもPCでも読めて、そのままプリントできたら最高です。出張先で同じ新聞を買う手間が省けます。私だったら、紙の新聞の定期購読はそのままに、サブスクも登録します。

新聞のレイアウトが好きです。特に、スポーツ新聞の社会面が好き。日刊スポーツの健康コラムや、大谷昭宏さんのコラム、政界地獄耳も好きです。読んでいないとソワソワします。なんだか…大ファンですね。でもそれは私だけではないと思います。

■日刊の企画が好きだ!■

日刊スポーツ紙面の連載企画「#休校になった君たちへ」も好きです。「おかわり塗り絵」(やくみつるさんによる中村剛也選手のイラストで、塗り絵ができる一面企画)大賞の13歳の子の作品、素晴らしかったです。幼い2歳の子の作品も掲載されていて、ほっこりした気持ちになりました。

もはやただのファン目線ですが、読者と双方向の企画がまたあったらいいなと思います。記者さんも読者の多さに驚くでしょうし、励みになると思います。

■ちょっと気になるウェブ企画■

逆に、ネットの企画「#その壁を越えてゆけ」は、ちょっと見づらいです。最初のリンクで記事に飛べないので、どこを開けばいいのかしらと思ってしまいました。また、個人的には、ツイッターでの記事のシェアはとてもありがたいですが、なんでもかんでもハッシュタグにすると、ツイッターの文字が読みづらいので、もっと改行を使って、記事の説明とハッシュタグをうまく使ってほしいなと思うことが多いです。

そして、ただただウェブ記事を増やす方向にいかないかも心配です。全体のPV(ページビュー)を増やすことを重視すると、むやみやたらに記事の本数を増やすことになり、ただでさえ人手不足で、記者さんやカメラさんがWEB対応もすることになって業務過多なのに、社員の方が疲弊しないか心配です。

■PV重視の弊害■

ネットとの相性だけ考えれば、不倫ネタやアイドルモノのほうが数字が跳ねるでしょうし、例えば被災地の取材記事などは、比べればアクセス数が少ないだろうと思います。でも大事な取材で、大事な報道です。PVだけを重視するのは、結局は首をしめることになってしまいます。日刊スポーツがそうだと言っているのではないです。ただ、ラジオをやっていて思うのは、ラジオもネットとの関連性を作らないと生き残れない時代なのに、ラジオの中の人がネット活用に長けていない場面があり、もったいないと思うことが多いので…新聞のプロフェッショナルだけでなく、ネットのプロフェッショナルの方にも中に入っていただいて、一緒にネットビジネスを考えるようなタイミングがあってもいいのではないかと…。

若造が偉そうに大変失礼しました。大好きな日刊スポーツがこれからも読めることを期待しています。

日刊スポーツで、WEBではありますがチャンスをいただけたこと、とても感謝しています。読者の皆さま、最後までお読みいただきありがとうございました。

私は2020年4月1日から「DMMオンラインサロン」をはじめることにしました。今後はコラムもそちらに掲載します。ご興味ありましたら、五戸美樹のホームページをご覧ください。

【五戸美樹】(ニッカンスポーツ・コム芸能コラム「第79回・元ニッポン放送アナウンサー五戸美樹のごのへのごろく」)