第1作で関東最大の暴力団の内紛、第2作で関東VS関西の抗争とスケールアップしたシリーズは、6年を経た今作で、日韓に舞台を広げ、国際的フィクサーも登場する。

 風呂敷を広げた分だけ、組織も人間関係も複雑になったが、一匹おおかみの大友(ビートたけし)が小気味よく決着をつけていくシリーズの妙味は一段と増している。腹心の市川(大森南朋)を引き連れて、練達のこわもてたちを相手に気迫がにじみ出ている。

 証券マンから「天下った」親分(大杉漣)に古参のたたき上げ若頭(西田敏行)。やり手の若手幹部(ピエール瀧)は下半身がだらしない。ヤクザ社会に置き換えた極端な誇張を除けば、裏切り、駆け引き、だましあいはどこの社会でも見る光景だ。仁侠(にんきょう)映画の健さんに思いを重ねてうっぷんを晴らした往年の図式がしっかり現代風にアレンジされている。

 前作に続く出演者が多いが、北野武監督はこの間の年輪を容赦なく映して、怖いくらいだ。スローモーになるが、貫禄は増す。「龍三と七人の子分たち」に続き、年配者ならではの鬼気が漂う。特に西田と塩見三省はしびれる好演だ。【相原斎】

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