乃木坂46の樋口日奈(24)が10月31日、東京国際フォーラムホールAで行われた卒業セレモニーに出席し、グループとしての活動を終えた。11年8月に1期生として加入し、11年2カ月。メンバーと共に自身の思い入れある楽曲を並べたセットリスト全16曲を歌いきり、詰めかけた5000人のファンに最後の勇姿を届けた。
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樋口の目から涙がこぼれたのは終盤。7月に卒業を同時発表した同期の盟友、和田まあやとステージに立った時だった。「まあやがいたから今日まで頑張れました」。2人きりのラストステージで「どうしてもやりたい」と語った「孤独兄弟」を披露。曲中では「最高の自慢の親友です」とハグを交わし、約11年間の活動をねぎらい合った。
選曲には思い出を詰め込んだ。初選抜の8枚目シングル「気づいたら片想い」、初センター曲の「シークレットグラフィティー」、選抜として日本レコード大賞やNHK紅白歌合戦を経験した「インフルエンサー」。節目を彩ってきた楽曲のほか、自身を奮い立たせた楽曲も多く並べた。
2曲目の「左胸の勇気」はデビュー曲「ぐるぐるカーテン」で選抜落ちした際に歌った。「<歌詞>がむしゃらが道を切り開くんだ」のフレーズに何度も勇気づけられたと明かし、「がむしゃらにやっていれば報われる時がくる。当時はつらい気持ちが多かったけど、今は明るい気持ちで歌えます」と笑顔で振り返った。
ひたむきに努力を続けてきた背中は後輩たちが受け継ぐ。3期生の阪口珠美は「つらい時もいつも寄り添ってくれた。これから近くにいられないのは残念ですけど、ずっとずっと大好きです」と涙ぐんだ。挫折も栄光も味わった1期生としての経験を惜しみなく後輩に伝えてきた。4期生の田村真佑は「包み込んでくれるというか、何をしても前向きな答えで返してくれる先輩です」と表現した。
12月に卒業を控える和田と共にグループを去り、1期生はキャプテン秋元真夏と齋藤飛鳥の2人だけとなる。秋元は「11年間もやっていると途方に暮れて目標がわからなくなることもあったけど、そういう時に(樋口が)グループを客観的に見て、こっちだよって笑顔で旗を振っていたような印象があるから、私たちは目標を見失わずにやってこれたなと。感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。
磨いてきた歌唱力や演技力を生かし、卒業後も芸能活動を続ける。「乃木坂46は本当にすてきな場所です。最高な思い出をありがとうございました。またみなさんに会えるように頑張ります」と締めくくった。【松尾幸之介】
◆樋口日奈(ひぐち・ひな)1998年(平10)1月31日生まれ、東京都出身。11年8月に1期生として乃木坂46加入。愛称「ひなちま」。舞台「SHOW BOY」や「フラガール -dance for smile-」(主演)のほか、21年1月放送のフジテレビ系ドラマ「教場2」出演など女優としても活躍中。161センチ。血液型A。