映画監督谷健二氏が描いた藤原大祐の似顔絵
映画監督谷健二氏が描いた藤原大祐の似顔絵

よるおびドラマ。月曜~木曜24時40分から放送されているTBSのドラマ枠。時間は15分、朝ドラ同様、毎日少しずつ楽しめ、YouTubeやTikTokなどショートムービーを好んでいる層にもおすすめである。

そして現在放送されているのは「差出人は、誰ですか?」。高校が舞台、夏休み明けに担任が「二学期中に1人最低1通、クラスの誰かに向けて手紙を書け」と宣言し“手紙ゲーム”が始まる。特徴として、差出人を書かくなくていいという。

そして、主人公の美月を中心にクラスメートの本音が続々と…。「好きでした」と告白するものもいれば、「死にたい」と書くだけのクラスメートもいる。差出人を書かなくていいという条件のもと、思春期の高校生たちの思いが交差していく。毎話、最後に主題歌のサビ(春夏秋冬~)にのせて、手紙の内容が発表される演出がまたいい。

美月を演じるのは、TBSのオーディション番組「私が女優になる日_」season2で5500人の中からグランプリに選ばれた幸澤沙良(こうざわ・さら)。新人ながら堂々とした演技もだが、その透明感たるや今後のスター候補なのは間違いない。

スター候補といえば学園モノらしく、各事務所のエース級がそろう。さらに注目しているのは2世俳優の多さ。櫻井海音(父親はMr.Childrenの櫻井和寿)、窪塚愛流(窪塚洋介)、三浦獠太(キングカズこと三浦知良)の3人をはじめ、野村康太(沢村一樹)や、すでに実績のある柄本時生などが並ぶ。

特に、櫻井、窪塚、カズといえばアラフォー世代にとっては憧れ中の憧れだと言っても過言ではない。その息子たちが令和で共演すると誰が予想しただろうか。そして3人とも2世俳優ならではの七光り感はそこまで感じず、存在感と共に演技もしっかりとしている。今後、親子共演など含め、活躍が楽しみである。

そして今回紹介したいのは同じくドラマに出演している藤原大祐。前述したスター候補に負けず劣らず、こちらも輝きを放っている。事務所はアミューズ、福山雅治をはじめディーン・フジオカや、現在月9で主演の吉沢亮など人気俳優がそろう。ドラマの中では、主人公・美月が片思いしている一ノ瀬斗也を演じる。クラスの中では、最小限のコミュニーションしかとらない少し浮いた存在だが、夜になると近所の公園でスケボーを楽しむ二面性がある。

始まったばかりだが、謎が多く今後さらに注目されていくキャラクターになっていくであろう。難しい役どころだが、きっちり演じ分けている上、その存在感たるや、次世代スターの風格たっぷりである。実は11日に公開したばかりの監督作品「追想ジャーニー」にも主演している。撮影したのは昨年12月、当時はまだそこまで駆け出しの俳優感はあったが、見た目はもちろん、勘の良さとともに、高橋和也や佐津川愛美など経験豊富な俳優を前にしても物おじせず芝居をしていた。その姿を見て、いつか彼の初主演作を監督したことが自慢になると思った。1年たち、急速にキャリアを重ねる彼を見ていると、それは想像以上に早く来るのかもしれない。今後の活躍に大いに期待です。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて青山でカレー&バーも経営している。最新作「追想ジャーニー」が11月11日から池袋シネマ・ロサ他にて公開。

(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画監督・谷健二の俳優研究所」)