17日に放送されたフジテレビ月9ドラマ「コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~」(主演山下智久、月曜9時)1話が16・3%の高視聴率でスタートした(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。このところ「バイキング」など情報系番組が好調で、6月は久々に週間オール4位から抜け出すトピックもあったフジテレビ。出遅れていたドラマもとりあえず看板枠が結果を出し、局内も沸いている。

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 月9の初回視聴率が15%を超えたのは、14年10月期の「信長協奏曲」(主演小栗旬)以来3年ぶり。昨年、今年と全話2ケタで完走した作品はなく、新作が放送されるたびに5~6%台の最低視聴率を更新する大低迷に陥っていた。久々の好発進に、視聴率が出た18日は局内でも拍手が起こった。

 他局が「はじめてのおつかい」(日本テレビ、12・0%)「とんねるずのスポーツ王は俺だ」(テレビ朝日、11・6%)など強い特番を当ててきた中での16・3%。同局では「7年ぶりのパート3で期待も高かった。裏が強かった中でのこの数字はうれしい」。局内に張り出す“高視聴率御礼”の張り紙も、ひときわ目立つ大型バージョンで祝っている。社員たちも「明るいニュースがあるとやはり社内の活気が違う」とうれしそうだ。

 いまだ民放4位が定位置となっている同局だが、なんとなく復調の兆しも見え始めている。昼ワイド「バイキング」が7月6日に番組スタート以来最高の8・0%を記録。王者「ひるおび」(TBS)を抜いてトップに立ち話題になった。朝の「めざましテレビ」も今月は2ケタを連発しており、日本テレビ「ZIP!」を上回っている。バラエティー番組は相変わらず不調が続いているが、新番組「良かれと思って!」(水曜10時)が6月末の放送でTBS「水曜日のダウンタウン」に勝利する金星を上げ、現場には励みになっている。

 6月26日週は、全日、ゴールデン(午後7時~同10時)、プライム(午後7時~同11時)で週間オール3位に浮上。「Mr・サンデー」に都議選と将棋藤井聡太四段の大一番が重なるラッキーはあったにせよ、就任したばかりの宮内正喜社長の新体制には追い風に見える。先ごろ行った初の定例会見でも「久しぶりに週間オール4位を抜け出した」と手応えを語っていた。

 長いこと、視聴率回復への道筋を「ドラマで短期的に話題を作る」→「バラエティーで視聴習慣を回復」→「報道・情報番組で信頼を勝ち取る」の順で立てていたフジテレビにとって、復調の流れが逆から進んでいるのは皮肉な話だ。そのドラマは今期も「セシルのもくろみ」(木曜10時)の5・1%、「僕たちがやりました」(火曜9時)の7・9%など相変わらず苦戦中だが、看板枠の月9が結果を出したことは大きい。「逃げ恥」の大ヒットでTBSドラマ全体が勢いづいたように、何か一発当たると流れが変わるのも業界あるあるだったりする。

 ちなみに、今回の「コード・ブルー」はF2層(35歳~49歳女性)によく見られているという。08年のシーズン1、10年のシーズン2を見ていた層が戻ってきたようだ。1も2も、当時のフジテレビは視聴率年間3冠王。縁起のいいコンテンツで、巻き返しの足がかりはつかめるだろうか。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)