北川景子(34)主演のTBS金曜ドラマ「リコカツ」(金曜午後10時)が18日、最終回を迎える。乱立したラブストーリーの多くが初回をピークに次々と視聴率を落とした中、最後まで客の手をつかみ続けてのラスト1話となった。このほど、最終回に向け北川がリモート取材会を行った。自身の結婚観、離婚観を織り交ぜたトークから、作品の魅力があらためて伝わってきた。

金曜ドラマ「リコカツ」(C)TBS
金曜ドラマ「リコカツ」(C)TBS

結婚1カ月で離婚になり、そこからわずか半月で再び互いの大切さを知る、という心の変化をラブコメとして丁寧に積み上げてきた。脚本をもらった時は、夫、DAIGO(43)との関係では考えられないスピード離婚ぶりが衝撃的だったという。

北川 自分が結婚した時は、お互い名前が表に出ていることもあり、絶対に離婚しないという思いで結婚したので。あの会見も「不倫とかあったらこの映像が使われるね」って(笑い)。一生使われる覚悟で、重い感じで結婚したので、ドラマで「離婚よ、離婚!」みたいな売り言葉に買い言葉でこんなに早く離婚するのかというところは自分の価値観とは全然違うところで、どう演じようかというのが私の中で最初のテーマになりました。

互いが素直になれず、離婚届を出してしまった6話のラストは胸がつぶれるような名シーン。役所へ向かった夫(永山瑛太)も、追い掛けた妻も、気付いた時にはもう遅いという切ない展開を振り返り、「離婚届は、はんこをついてはいけないとあらためて思った」と笑顔でしみじみ。

北川 はんこを押したら、相手がパッと出しちゃったら間に合わない。6話ですごい走ったのに間に合わなかったから。離婚って、そんな簡単に口にする言葉じゃないと。

現場では、瑛太とどうしたら脚本が生きた言葉になるか、常に話し合っていたという。

北川 ドタバタ感を含め、リアルに皆さんに楽しんでいただけるには、ラブコメとして楽しんでいただけるにはどうしたらいいのか、本読みやリハーサルで毎回話をして。2人でやると、1人では想像できなかったことが起きる。離婚届を出した区役所前のシーンも、あそこまでドラマチックになるとは。私が泣いて、手をお互い離したくないというのも、やってみて生まれたものでした。

金曜ドラマ「リコカツ」(C)TBS
金曜ドラマ「リコカツ」(C)TBS

「家訓唱和」「妻は夫を支えろ」という古いカルチャーのコメディーから、「あなたが仕事を辞めて家庭に入ってもらうわけにはいかないの?」という迫力の緊張感まで、共働き夫婦ならではのすれ違いも立体的に描かれてきた。

北川 自分自身、共働きの夫婦なので、仕事に向き合っているとなかなか家庭と向き合えないというバランスに悩む感じは共感できます。(仕事をしていると)外のかたに丁寧になっちゃうから、どうしても家族に甘えがちになるのもリアルだなって。今回、連続ドラマを1本主演するという中で4カ月間家を空けなければならず、子どももいるので、親も、相手の親も、夫も、全家族総出でなんとか家庭を回していったので、本当にありがとうと言いたいです。

仕事と結婚に悩む33歳ヒロインを通し、自身のキャリア観についても語った。

北川 17でデビューして、仕事だけに生きるのが当たり前だったのでまったく悩むことなく。逆に休みの期間があったりするとすごく不安で、1カ月何も演じていないけど大丈夫かとか(笑い)、その間に同年代の女優さんが活躍していたりするのを見ると、怠けているのかな、働かなきゃと。29で結婚してからもあまりスタンスは変わらず、ほんとここ数年でしょうかね、ちょっとこのペースじゃ年齢的に難しいなというのと、子どもと向き合いたいという気持ちになってきた。どっちが大事かなとか、迷わなくなりました。

金曜ドラマ「リコカツ」(C)TBS
金曜ドラマ「リコカツ」(C)TBS

お仕事ドラマを中心に、バリバリ働く強い女性や鉄仮面の強キャラを演じることが多かった彼女にとって、連ドラで王道のホームドラマを演じるのは初めてだったという。持ち前のコメディー力に加え、“普通の人”の心の機微をスッとすくい上げ、見る人の心をつかむ表現力は大いに話題になった。

北川 等身大で、人間らしい自然体な役をやらせていただいて、難しかったんですけど、やってよかったなと思う作品になった。自分の親は宮崎美子さんのところに共感したり、夫もいちファンとして見てくれている。この作品のいいところは、老若男女問わず、どれかのキャラクターに自分を重ね合わせて楽しんでもらえるところ。

最終回にも自信をみせている。

北川 一緒に歩んでいくために、2人が本当に変われるのかが見どころです。パリに3年間研修という話が持ち上がってお互い譲れないとなった時に、どこに折り合いをつけて、どう2人はやり直すのか。男女の関係や、仕事と家庭の両立をリアルに描いてきたドラマだからこそ、きれいごとで終わらせるのではなく、みんなが「そう来たか」と思える終わり方になっていると思います。夫婦の数だけ形がある。ラストシーンまで誰がどうなるか分からないので、楽しみにしてほしいです。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)

TBS金曜ドラマ「リコカツ」の撮影をクランクアップした主演の北川景子
TBS金曜ドラマ「リコカツ」の撮影をクランクアップした主演の北川景子