昨年3月に亡くなったコメディアン、志村けんさん(享年72)の半生を描くフジテレビドラマ「志村けんとドリフの大爆笑物語」(主演山田裕貴、12月放送)で、ザ・ドリフターズのリーダー、いかりや長介さん役を遠藤憲一(60)が演じるという。

このほど、ドリフ5人が勢ぞろいしたメインビジュアルが公開され、遠藤のあまりのドはまりぶりに笑ってしまった。すでに発表されている山田裕貴の志村さん役もナイスキャスティングだが、遠藤のいかりやさんも神キャスティング。ネット上も「ぴったり」「絶妙なキャスティング」と沸いていた。本紙編集部にもドリフ世代はうようよいて、写真を掲載したゲラが出ると「完全にいかりや長介」「なんていい写真なんだ」と、自然と笑いの輪ができた。

キャスティングした編成部の安永英樹さんは、ドリフのリアルタイム世代としてはギリギリの45歳。3、4歳から「8時だヨ!全員集合」(TBS)を見ていたとし、「ドリフは原体験のひとつ」と語る。遠藤の起用について「立ち居振る舞いや、コワモテだけどどこか憎めない顔つき。いかりや長介さんを演じていただくには遠藤さんしかいないと思い、お願いしました」。細身で長身であることも「いかりやさんそのもの」と感じたという。

いかりやさんについて「多くの子どもと同じように、怖い親分で偉そうにしているリーダー、というイメージを持っており、志村さんや加藤さんがいかりやさんをやり込めている時は快哉(かいさい)の声をあげていたものです」。また、「あんなコワモテなのに愛らしいというか、『だめだこりゃ』といったせりふを言う時などは、チャーミングでどこか憎めない魅力がありました」と懐かしむ。

遠藤には「コワモテ」と「愛らしさ」の両方があるとし、「怖い顔から笑うと、ふにゃっと少し情けないような優しい顔になる」。撮影現場でも「在りし日のいかりやさんの姿に重なって見えることが何度かありました」と話す。加藤茶は勝地涼(35)、高木ブーは加治将樹(33)、仲本工事は松本岳(28)がそれぞれ演じる。

あらためてメインビジュアルを見ると、いかにも20代のころに見える志村さん(山田)をセンターに、5人がいいまとまり。法被&ハチマキという「全員集合」スタイルには、今もそれだけで人をハッピーにする力があり、毎週生放送でコントを届け続けたドリフターズの心意気が画角いっぱいに飛び込んでくる感じだ。

ドラマは、志村さんがコメディアンになることを決意していかりやさんの元を訪れ、高校卒業目前にバンドのボーヤ(付き人)として携わるところから始まる。見習時代の修業の日々や、メンバーの一員となった74年以降の知られざる挫折と苦悩など、福田雄一氏の脚本、演出で描かれる。

04年に当時53歳だった志村さんをインタビューし、このへんの貴重なエピソードを山ほど聞かせてもらった身としては、お笑い一筋の青春がどう描かれるのか本当に楽しみ。「全員集合」や「ドリフ大爆笑」の名作コントの数々を5人で演じているというのも、ドリフで育った世代としては心躍る。安永さんは「抱腹絶倒のやりとりとコントを楽しみにしていただければ」。遠藤演じるいかりやさんの妙味とともに期待したい。

◆遠藤憲一のコメント 「小学校時代、ザ・ドリフターズは見ていたのですか、まさか自分がいかりや長介さんを演じるとは予想もしていなかったのでびっくりしました。コワモテというところと、年齢的なところが起用理由でしょうか。当時、ご本人たちがアドリブでやっていたことを台本に起こして、それを自分たちが演じることはなかなか難しい経験でした。視聴者の皆さんと一緒に、今から放送を楽しみにしています」。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)