【ヒロインのせりふ】「あなたはただの最低下劣な変態シスコン野郎なのですよ」

13日に放送された日本テレビ系日曜ドラマ「霊媒探偵・城塚翡翠」(日曜午後10時半)最終話で、主人公城塚翡翠を演じる清原果耶さん(20)が連続殺人犯を断罪したせりふです。

1話からピュアなお嬢さま霊媒師として描かれてきたヒロインが、小悪魔すぎる天才奇術師の素顔を明かした最終話。「変態シスコン野郎」のくだりは、キャラ変したヒロインのすごみと、大どんでん返しのあざやかさを象徴するものでした。こんなせりふでさえどこか格調高い翡翠ワールドを生き生きと表現した演技力は圧倒的。このワードがたちまちトレンド入りしたのも納得でした。

「変態シスコン野郎」とは、バディとしてともに難事件を解決してきた推理小説家・香月(瀬戸康司)のこと。連続殺人事件の犯人は彼であると見抜いた翡翠が、怒濤(どとう)の推理で彼を追い詰めていく展開でした。

原作小説を読んでいたので、作品のクライマックスである翡翠のキャラ変を清原さんがどう演じるのか、ずっと楽しみだったんですよね。亡き姉の霊を降ろせと刃物で脅され、しくしく泣いているのかと思ったら笑いをこらえていたという反撃にぞくぞく。「降霊なんてできるわけないでしょう。私はインチキ霊媒師ですよ? あんなのはただの奇術です」。声までガラリと変わり、そこから約40分、演劇空間に巻き込むような若き主演女優の力をわくわくと見ました。

「ダメですね先生」「あれれぇー」「にぶいですね。マイナス20ポイントです」。頭脳の違いを見せつけ、高笑いで人をからかうドSっぷりも痛快でした。「私はあまりに超絶美人すぎて目立っちゃいますけど」という絶対的自信や、「私、手癖が悪いんですよ」といつの間にかスマホを抜き取っている行儀の悪さもチャーミング。奇術師らしい優雅な所作や、どこか三島文学のようなノーブルな日本語も美しく、何をしても下品の一線を越えない翡翠の魅力がしっかりとありました。

5話で終わってしまうのは残念すぎると思っていたら、あす20日から新番組「invert 城塚翡翠 倒叙集」がスタートするという日テレの仕掛けにびっくり。同一主人公による「再びの第1話」の試みは連ドラ史上初だそうです。翡翠の広々とした応接空間や陰影のある喫茶店風景など、ミステリーを演出する美術と映像の美しさは秋ドラマ界屈指だと実感しているので、引き続きこの世界観を楽しめることに心躍ります。

今度はアシスタント、真(まこと)ちゃん(小芝風花)とのコンビということで、このツーショットのファンとしてはうれしい限り。「霊媒探偵、城塚翡翠とでも名乗っておきましょう」という自己紹介で完結したヒロインの、新たな活躍が楽しみです。【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)