1986年(昭61)のドラマ放送開始から30年。「あぶない刑事」シリーズ最後の作品となる映画「さらば あぶない刑事」(村川透監督)が30日、ついに公開される。公開を前に舘ひろし(65)柴田恭兵(64)浅野温子(54)仲村トオル(50)が勢ぞろいし「あぶ刑事」の30年を語り尽くした。

 -完成した映画を見ての感想は

 舘 原点回帰したかった。ハードボイルドのストーリーがしっかりした上に、恭サマ(柴田)と現場で話して、コミカルでしゃれたせりふ、アドリブを作っていくスタイルだった。ある時期から脚本家が(アドリブを)書き出し、つじつまが合わなくても、せりふでごまかすような作品になったのが嫌で、しっかりしたストーリーを作りたいと思った。よくできている。

 柴田 昔からのファンも初めて見る方も、自前の体を使いCGも使わず、本当に楽しんでいただけるものができたと思っています。

 浅野 ドラマの生身のアクションが戻った感じは、誇っていいと思います。

 仲村 あの頃、輝いていたもの、引き出しに入った経験を全て出した豪華でパワフルな感じがしました。

 -05年「まだまだあぶない刑事」から11年…なぜ今「あぶ刑事」をやったのですか

 浅野 期が満ちたということでしょうか。みんなが、そこまでキープしていることが大前提。誰かが欠けていたのかも知れないし。

 舘 それぞれ、すごく成長していて、この形なのが面白いんじゃないの?

 柴田 舘さんは、すごい成長しました。始まった頃、台本を読んでいたら真剣な顔をして「恭サマ、相談がある。俺の頭の中…女のことでいっぱいなんだ。おかしいかな」って。今や撮影に入る前に「ミーティングしようぜ」って(笑い)。

 仲村 舘さんは「(柴田とは)対極…一番遠いところにいた」とおっしゃった。そばで見ていると、最初は地球上に背中合わせで一番遠いところにいる俳優に見えた瞬間もあったけれど…振り返った瞬間に一番近い関係になったと思います。

 浅野 またコンビが成就した時に一体、どんな思いがあるのかなぁと楽しみだった。2人とも映画にのめり込んじゃって、ちょっとでも軽口をきこうとすると、恭兵ちゃんは「キーッ」、たっちゃんは「ウーン」って…嫌な感じ(笑い)。

 -定年間際のタカとユージを描いた。老いとは何ですか

 柴田 一生懸命走りましたけども、若いだろうという意識ではなく、64歳の全部を出せたら遅くても構わない。若い時、60歳ってすごい年のように感じたんですけど、いざ過ぎてみたら意外といい。(前作の頃に)「70歳過ぎて撮ったら」と言ったのは年だからと許してくれる、逃げられる部分もあるという思いもあった。今、撮ってもらって良かった。

 舘 年は取りたくない…でも、あまり取っていなかった。できちゃったんだよね。自分が年取ったって思わないこと。年を取ったと認識しない方が良い。

 -「あぶ刑事」の魅力は

 柴田 舘さんの持つ格好良さ、僕が感じている格好良さは根っこがすごく太く、全く変わっていない。今、小学生が見ても「格好いいおじさん」とか…何か、いいんじゃないかな?

 舘 日本の刑事ドラマで初めて悲壮感を否定した新しいドラマ。この4人でしかできないユニークで、宇宙に1つのもの。4人が集まると怖いものはない。文化的大事業だと思うよ。【構成・村上幸将】

 ◆「さらば あぶない刑事」 横浜港署刑事のタカこと鷹山敏樹(舘ひろし)とユージこと大下勇次(柴田恭兵)は、定年退職が5日後に迫っていた。後輩の町田透課長(仲村)の心配をよそに追っていたヤクザの伊能が惨殺される。2人は背後でうごめく中南米の犯罪組織BOBと、命を懸けて戦う決意をする。そんな中、真山薫(浅野)はIT企業社長との結婚が決まったとはしゃいでいた。

 ◆「あぶない刑事」主要キャスト4人対談の番外編と、製作陣対談は、ニッカンスポーツコム(https://www.nikkansports.com/)で公開まで随時掲載します。