吉本新喜劇座長の辻本茂雄(52)が31日、大阪市内で、芸能活動30周年記念公演を発表し、競輪選手の夢をあきらめ、芸人として生きてきた半生を振り返った。

 「僕の人生はうどんのハチでできてるんです」

 唐突に切り出した辻本だが、もともと中学時代から競輪選手を目指し、高校は強豪・和歌山北高で競輪部の主将を務め「競輪選手になる…いや、なれるはずやった」と話す。

 辻本の実家はうどん屋で高校時代、親から「うどんのハチ(おわん)買うてきて、言われて、道具屋筋(大阪・ミナミの雑貨商店街)へ得意の自転車で買いに行って、帰りに車とぶつかった」ことで、人生が暗転した。

 けがそのものは、選手生命に影響はなかったものの、その治療時に左ひざに腫瘍が見つかった。治療、リハビリを1年続け、復帰へ努めていた1年後、右ひざにも腫瘍が発見され、医師から「両ひざに腫瘍ができたら、もうペダルはこげない」と言われ、人生に絶望したという。

 「競輪選手になりたくてやってきて、もう絶望して、道具屋筋にうどんのハチ買いに行って見たNSC(吉本総合芸能学院)生徒募集のチラシを思い出して、お笑いやってみよ、と」

 腫瘍は幸いにも悪性ではなく、競輪選手から芸人へ大きくかじを切った。86年、NSC5期生として入り、最初は漫才コンビを組んだものの、相方が廃業し、89年に新喜劇入り。99年に座長へ昇格した。

 「舞台は1人でできるもんやない。最近はアキとか、東京から(島田)珠代が帰ってきてくれて、仲間と一緒におもろい舞台を作っていくのが楽しい」とし、30周年コンセプトを「絆」に決めた。

 30周年記念公演のチラシには各所に「絆」の文字があり、「(よしもと)祇園(花月)で1週間、それ以外に全国も回るので、今年は全国の人に辻本茂雄を1人でも多くの人に見てほしい」と話していた。

 30周年記念公演は、まず、4月25日~5月8日に京都・よしもと祇園花月で「茂造の絆(きずな)」を開催。「辻本茂雄 絆で30周年記念ツアー」と題して、5月27日の熊本から全国を回る。地元の大阪では8月1~7日、なんばグランド花月で行い、秋まで全国14カ所以上を予定している。