今話題のシンガー・ソングライター半崎美子さん(36)のイベントライブを取材した。

 「ショッピングモールの歌姫」「メンソン(メンタルソング)の女王」などと称されるが、そもそも「メンタルソング」ってどんな意味なんだろか。半崎さんは「心が浄化されるとか、涙で心が洗われるとか言われるので、そういうことだと勝手に解釈しています」と笑顔で話した。

 北海道から上京して17年、ずっと歌い続けてきた。「ショッピングモールの歌姫」と称されるのは、そんな地道な活動からだった。それが結果に結びついたのか今年4月、ミニアルバム「うた弁」でメジャーデビューした。タイミング的にも自然だったという。「オーディションに受かったわけでもないので、急に何かが変わったという感覚はありません。自分にとっては地続きのような感じなので、浮つくわけでもなく、地に足を付けてやっていけるので、そういう意味では自然な流れだったのかなと思います」。

 同アルバムに収録された「お弁当ばこの歌~あなたへのお手紙は~」はNHK「みんなのうた」に採用され、反響も大きかったという。「ショッピングモールで歌っていても口ずさんでくれる人がいて、今までにない経験なんです」。ショッピングモールで不特定多数のお客さんの足を止めるのは容易ではない。しかし、同曲によって半崎さんの歌声を聞きに来る人が増えている。

 半崎さん歌の魅力は、不特定多数に響くことを狙って作った歌ではなく、ある特定の個人のために作った曲が結果的に不特定多数の共感を得ているように感じた。同アルバムに収録されている「サクラ~卒業できなかった君へ~」しかり、まだCDにはなっていない「手つかずの朝」しかり。特に後者はスカイツリーに常設され、半崎さん自身オープニングからライブイベントを繰り返してきた会場「ジーコムワンダースタジオ」のスタッフがやめるときに前途を祝して書いた曲だという。「会場に足を運んでくれた人の声だったり、サイン会で触れあった人やスタッフさんとか、1人1人との出会いや触れ合いから生まれる曲が多いです。人の心に寄り添うような曲や人の生活に根付いた曲を書きたいと思っています」と話した半崎さんの言葉に、「メンソンの女王」と呼ばれる理由があるように感じた。