デビュー作「勇者たちへの伝言」で昨年、大阪の書店関係者らが選ぶ「大阪ほんま本大賞」を受賞した増山実氏(59)が、3作目「風よ僕らに海の歌を」(角川春樹事務所)を執筆、その出版記念トークショーが27日、小説の舞台となった兵庫・宝塚市内のイタリア料理店「アモーレアベーラ」で行われた。

 トークショーにはタレントの松尾貴史、落語家の桂吉弥らが駆けつけ、ラジオDJ野村雅夫の軽快な司会で約30人のファンで盛り上がった。

 テレビ番組「ビーバップ!ハイヒール」などの放送作家でもある増山氏にとって、今回が作家として3作目。物語は現存する関西最古のイタリアンレストランをモチーフに、第二次世界大戦時のイタリア兵士と日本人女性の運命の出会い、戦争に翻弄されながら激動の時代を生き抜く家族を「食」と「音楽」を通して軽妙に描く。

 同料理店は「父親と通った思い出の詰まった店」という松尾は、その舞台が小説となって感慨深げ。桂吉弥も「僕は増山作品の大ファン。多くの人に読んでほしい」と壮大なストーリー展開を絶賛だ。

 トークショー後半では、「アモーレアベーラ」の二代目オーナー、エルコレ・アベーラ氏、小説にも登場する常連で元阪急ブレーブスのロベルト・バルボン氏も登場して爆笑トークを繰り広げた。増山氏は「食、音楽、歴史など…切り口は100通りくらいある。実話をベースにさらに面白く味付けしたフィクションを堪能ください」と話した。