松岡充(46)が、10年ぶりに連続ドラマに出演し、奮闘している。NHKドラマ10「この声をきみに」(金曜午後10時)で、主演竹野内豊(46)演じる偏屈な数学者の友人役を好演中。ミュージシャン、俳優と二足のわらじをはいて活躍する松岡の今に迫った。

 「この声をきみに」では、ノリのいい関西弁をそのままに、竹野内演じる数学者の友人役を演じている。近年舞台出演は続いていたが、連ドラは07年のTBS系「山田太郎ものがたり」以来、10年ぶりだ。

 「舞台は音楽のライブに近いところがあるんですけど、映像はまたちょっと雰囲気が違うので新鮮です。役柄は、料理でいえば、ちょっと添えるレモン的な役割。今回は名指しで呼んでいただけたので、期待に応えようと思っています」

 ロックバンドSOPHIA(活動休止中)のボーカルとして人気を博していた02年、初のドラマ出演が、フジテレビ系月9ドラマ「人にやさしく」だった。きっかけは、人気放送作家鈴木おさむ氏(45)との偶然の出会いだった。

 「当時行っていたバーで、よく『SOPHIAの松岡さんですよね』としゃべりかけてきたお兄ちゃんがいたんです。後日、ドラマのプロデューサーと会うことになったら、『初めてドラマの脚本を書くんです』というそのお兄ちゃんがいて、鈴木おさむでした(笑い)。なかなか決まらない役があって、推薦してくれていたんです」

 その後はNHK連続テレビ小説「風のハルカ」(05年)をはじめ、映画、舞台と俳優としての活動の幅を広げた。「すべては人とのつながり。自分のことを役者だとは今も思ってはいない」と話しつつ、役者としての活動を通じて、音楽との相乗効果もあった。

 「お芝居をやることで、相手あってこその自分なんだと思えるようになりました。アーティストは『俺たちの歌や演奏、ステージを見たいやつは見てくれ』という一方通行な部分は少なからずあるのですが、お芝居はそれでは成立しないので、自分のことを俯瞰(ふかん)で見られるようになりました。受け手に向かって歌うことも、アーティストにとって大事なことなんだと思います」

 役者としての今後について「まだ時代劇はやったことがないので、やってみたい。もし大河ドラマに出られたら役者引退ですね」と笑顔で話しつつ、結成4年目を迎えたバンド、MICHAEL(ミカエル)のメンバーとして音楽活動も充実させる。

 「役者をやってるからだと思うんですけど、さらに新しい音楽を作りたいという欲が、どんどん出てきてます。役者として感じたことを音楽に持って帰って、さらに爆発して、自分の道を突き進んでいくぞという気持ちです。期待していてください」【大友陽平】

 ◆松岡充(まつおか・みつる)1971年(昭46)8月12日、大阪府生まれ。94年にロックバンド「SOPHIA」を結成し、翌95年にメジャーデビュー。02年にフジテレビ系「人にやさしく」で俳優デビューし、映画、舞台などに出演。今月13~15日には、舞台「不届者」大阪・サンケイホールブリーゼ公演に主演。血液型B。