歌舞伎俳優市川猿之助(41)が25日、東京・新橋演舞場で、左腕開放骨折で休んでいたスーパー歌舞伎セカンド「ワンピース」が千秋楽を迎え、カーテンコールにサプライズ登場し、10月9日の事故後、初めて舞台から観客に向けて言葉を発した。

 猿之助は「私が不慮の事故によりまして、こういう事になりました。私がいなくてもこの芝居は本当にお客さまが入るということで、入院中、どれだけ励まされたことか」と語り、観客を笑わせた。

 猿之助は、10月9日のカーテンコールで花道のセリから降下時、衣装の左袖が昇降装置に絡まって救急搬送されていた。完治には半年近くかかるとみられていたが、10月30日夜の部のカーテンコールで約3週間ぶりにサプライズ登場。だが、何も話してはいなかった。当時は左腕を黒いアームホルダーでつるしていた。この日はギプスなどもなく、両腕を広げるように上げて、観客にお礼をしていた。主催者側によると、10月30日以降も何度かカーテンコールに姿を見せていたが、いずれも観客に向けて言葉を発せず、この日、事故以後、初めて観客に向けて話したという。また、11月に入ってから退院したと説明した。

 猿之助は「後ろから見ていましたけど、面白い芝居」と再び観客を笑わせると「本来なら命を失うような事故だったのですが、優秀なスタッフと周りのサポートのおかげで腕だけですみました。このけがは良くしかならないそうです」と元気に語った。

 26日は42歳の誕生日。出演者の1人、市川右団次の長男市川右近が突然、舞台に登場し「猿之助、元気になって良かったね。体が硬いよ。ストレッチして。熱く燃えて」と激励。さらに「明日、お誕生日だね。おめでとう。ハッピーバースデー」と語り、場内を盛り上げた。