女優吉永小百合(72)の120本目の映画「北の桜守」(滝田洋二郎監督、3月10日公開)の公開を記念して、吉永が主演した名作映画の特集上映「映画女優 吉永小百合」が行われることが13日、分かった。2月17日から「北の桜守」公開前日の3月9日まで東京・丸の内TOEIほか北は北海道・稚内から南は九州・鹿児島まで全国56の劇場で上映される。

 1959年(昭34)の「朝を呼ぶ口笛」で映画デビューした吉永は、120本目の映画の製作、公開を近年の目標に掲げ、1つの節目としてその重要性を繰り返し口にしてきた。120本目の映画「北の桜守」の公開を前に、吉永の映画女優人生を振り返る、特集上映企画の開催が決まった。「北の桜守」配給の東映における、代表的な6作品がラインアップされた。

 中でも、故高倉健さんと初共演した80年の映画「動乱」(森谷司郎監督)は、吉永にとって映画女優として生き抜く覚悟を決めた、一大転機となった作品だ。73年の結婚後、多忙によるストレスから声が出なくなったことを受けて約1年、休養したものの女優としての苦悩が続いていた中「動乱」に出演。北海道サロベツ原野のロケで、役作りのために雪原に立って昼食のカレーを食べる高倉さんの姿勢から、映画俳優の神髄を学び、ラブシーンにも挑戦。後年「とにかく心で演じた。映画をもう1回、やってみようと思った」と語っている。

 また「北の桜守」が最終章に位置付けられた「北の3部作」に数えられる「北の零年」(行定勲監督、05年)、「北のカナリアたち」(阪本順治監督、12年)、そして吉永がプロデューサーに初挑戦した118本目の映画「ふしぎな岬の物語」(成島出監督、14年)も上映。他に「天国の駅」(出目昌伸監督、84年)、「長崎ぶらぶら節」(深町幸男監督、00年)も上映される。

 吉永が主演した名作映画を、あらためて映画館の大きなスクリーンで堪能できる、貴重な機会となりそうだ。【村上幸将】