4代目桂春団治(69)の襲名披露興行が11日、大阪松竹座でスタートし、16年1月に亡くなった3代目春団治さん(享年85)の遺言通り、春之輔が4代目として、上方落語の大看板を復活させた。

 興行初回の中トリは、6代目桂文枝(74)が務め「歌に歌われ、芝居、映画にもなったあの春団治が、今回の襲名で復活しました。まさしく、なにわに春がきた。この襲名でますます大阪が元気になったらいいなと思います」とあいさつ。大阪文化を描いた創作の「大大阪辞典」を演じた。

 口上にはその文枝、弟弟子のきん枝(67)、女流の露の都(67)、一門から桂春雨(54)に加え、江戸の柳家小さん(70)も駆けつけ、並んだ。

 口上の口火を切った文枝は、感涙しながら「50年ほど前、まだ駆け出しの頃、いつかはみんな、トリをとってはばたこうと『鳥の会』をたちあげ、ここまできた戦友です。先代とは違った味の自分らしい舞台をつとめてほしい」と語った。

 また、兄弟子の文枝会長を協会「副会長」として、4代目とともに両輪で支えているきん枝は、4代目とは盟友の間柄。ともに後輩に慕われる人間性で知られ、きん枝は「(4代目は)だいぶ先輩ですけど、なんなら同期か後輩ぐらいに思ってます。まあ、そう思わせるぐらい懐の広い方です」と、先輩をいじりつつ、襲名を祝福した。

 また、小さんは、自身の襲名興行を引き合いに「襲名は人にあるか、芸があるか。で、後は人望。これは(4代目は)大丈夫」と言い「あとは女の問題でございますが…」と続けると、会場がざわついた。

 小さんとしては、女性にもてた4代目をいじったはずが、くしくも、隣に昨年末から女性問題があった文枝がいたため、客席からも笑いがもれた。

 すると、小さんは「女の方は…これはまあ、適当でよろしいか」とニヤリ。「これは言うまいと思っていましたが、つい口がすべりまして。文枝会長もそうだった…」と続けると、文枝は立ち上がりつつも苦笑。これに小さんは「いやいや、違います。襲名の話です」と大げさに否定する動きで、爆笑を奪った。